サビマダラオオホソカタムシを利用したマツノマダラカミキリ防除技術の開発

タイトル サビマダラオオホソカタムシを利用したマツノマダラカミキリ防除技術の開発
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 浦野 忠久
発行年度 2006
要約 サビマダラオオホソカタムシはマツ材線虫病を伝搬するマツノマダラカミキリの天敵昆虫です。この虫を室内で増殖し、被害マツ林に放飼することによりマツノマダラカミキリを防除する手法を考案しました。
背景・ねらい マツ材線虫病は、寒冷地を除く全国のマツ林で依然として深刻な枯損被害をもたらしています。これまでにさまざまな防除法が開発されていますが、この病気の原因であるマツノザイセンチュウを運搬するマツノマダラカミキリを対象とした防除法が主体となっています。その中でも効率的に高い効果を得られる薬剤散布が最も多く実施されていますが、在来の天敵をより積極的に活用することも必要です。そこで、室内増殖した天敵昆虫サビマダラオオホソカタムシを被害マツ林に放つことにより、マツノマダラカミキリを防除する手法を開発しました。
成果の内容・特徴

サビマダラオオホソカタムシとは?

中国地方のマツ林でマツノマダラカミキリ(以下カミキリ)への寄生が確認されたサビマダラオオホソカタムシ(写真1、以下ホソカタムシ)は甲虫の1種で、成虫は枯れ木の樹皮などに産卵し、孵化した幼虫はカミキリムシ類の幼虫が樹幹内に掘った孔道に侵入し、その奥に潜っているカミキリムシの幼虫および蛹に寄生して殺します(写真2)。人工飼料での大量飼育法が開発されており、成虫は多くの卵を産むため、天敵昆虫として利用するのに適した昆虫といえます。

マツ材線虫病被害林内での放飼試験

室内増殖したホソカタムシ成虫および卵を滋賀県および岡山県の被害マツ林で、毎年1回枯れ木に付けたところ、成虫がその枯れ木(放飼木)に産卵し、孵化した幼虫の寄生によって樹幹内のカミキリの30~60%が死亡しました(図1A)。また、原因不明の死亡を加えるとカミキリの死亡率は50~85%に達しました。原因不明とみられていたカミキリの死骸の一部からホソカタムシ幼虫の死骸が見つかったため、この中にはホソカタムシの寄生を受けたものがかなり含まれていると考えられます。

ホソカタムシをマツ林でどのように使うか?

実際にマツ林内でホソカタムシを利用したカミキリの防除を行う場合は、あらかじめ薬剤散布などによって被害を抑えた方が効率は高くなります。一般的に薬剤散布はカミキリの羽化脱出時期に行われますが、カミキリより羽化の遅いホソカタムシは枯れ木の内部に幼虫や蛹の状態でいるため、薬剤の影響を受けにくいと考えられます。薬剤で被害を抑制した林内でまばらに発生する被害木を集めて新たに開発された金網製のカバー(天敵保全箱、写真3)で覆い、ホソカタムシの卵をこの中に放し、被害木のカミキリを用いて効率的に増殖させます。これを林内にいくつも設置することにより成虫を徐々に分散させ、薬剤で駆除し残したカミキリ幼虫に寄生させて、防除効率を高めることができます(図2)。なお、土着のホソカタムシがマツ林内に多く生息する地域は、今のところ岡山県を中心とした中国地方の一部に限られており、この虫を全国で天敵として利用するためにはさらなる調査が必要になります。

本研究は、交付金プロジェクト「サビマダラオオホソカタムシを利用したマツノマダラカミキリ防除技術の開発」による成果です。

詳しくは Urano, T. (2004) Bulletin of Forestry and Forest Products Research Institute 3:205-211 をご覧下さい。
図表1 212700-1.jpg
図表2 212700-2.jpg
図表3 212700-3.gif
図表4 212700-4.jpg
図表5 212700-5.gif
カテゴリ 病害虫 防除 薬剤

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