タイトル | カイコの幼若ホルモン前期生合成酵素遺伝子群の同定と発現解析 |
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担当機関 | (独)農業生物資源研究所 |
研究期間 | 2005~2006 |
研究担当者 |
金児雄 金城輝則 三田和英 糸山享 篠田徹郎 比留間潔 |
発行年度 | 2007 |
要約 | カイコゲノム情報を利用して幼若ホルモン(JH)生合成前期経路の遺伝子を全て同定し、ファルネシルピロリン酸シンターゼが3種存在することを見出した。前期遺伝子の大多数がアラタ体で強く発現しており、またアラタ体での発現レベルとJH合成活性の間に一定の相関が認められた。 |
キーワード | 幼若ホルモン、アラタ体、酵素、カイコ、ゲノム、cDNA |
背景・ねらい |
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成果の内容・特徴 | 1.カイコゲノム情報に基づき、アセチルCoAからファルネシルピロリン酸にいたるJH生合成前期経路(メバロン酸経路、図1)の酵素遺伝子を全て同定し、そのcDNAを単離した。 2.前期酵素遺伝子の組織特異性を調べると、FPPS1とMevPK以外の酵素遺伝子はいずれもアラタ体で著しく強い発現が認められた(図2)。このことはアラタ体がJH合成に著しく特化した器官であることを示している。 3.FPPSのうち、FPPS2およびFPPS3はアラタ体でほぼ特異的に発現しており、特にFPPS2は発現量が高く、JH合成に関わる主要なFPPSであると考えられる(図2)。通常の昆虫のJHは1種(JH III)であるが、カイコなど鱗翅目昆虫では、複数種のJH(JH I, JH II, JH IIIなど)を合成することが知られ、複数のFPPSを持つこととの関連が注目される。 4.前期酵素遺伝子のアラタ体における発育変動とJH合成活性レベルを比較したところ、5齢幼虫初期のJH合成活性が低下する時期に、ほとんどの前期酵素遺伝子の発現レベルが低下した(図3)。一方で、JH合成が完全に停止する5齢中期~蛹中期にかけて、いずれの前期酵素遺伝子も多少は発現していた(図3)。このことから、前期酵素遺伝子群の発現レベルとJH合成活性レベルに一定の相関関係があるが、前期酵素遺伝子群の発現制御だけではJH生合成制御を完全には説明できないことが明らかになった。 |
成果の活用面・留意点 | 1.成制御には、JH酸メチル基転移酵素(JHAMT)遺伝子などJH生合成後期経路遺伝子の発現制御がより重要な可能性がある。JH生合成後期経路の酵素遺伝子の一部は未同定であり、今後明らかにする必要がある。 |
カテゴリ | カイコ |