タイトル |
九州地域向け稲発酵粗飼料用水稲新品種「ニシアオバ」 |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
1986~2003 |
研究担当者 |
岡本正弘
田村克徳
梶 亮太
平林秀介
溝淵律子
八木忠之
山下 浩
西山 壽
本村弘美
滝田 正
齋藤 薫
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発行年度 |
2003 |
要約 |
水稲「ニシアオバ」は、地上部全重が重く、難脱粒性で、ホールクロップサイレージとしての発酵品質や嗜好性も良好である。玄米は極大粒で、主食用水稲品種との識別が容易である。
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キーワード |
飼料イネ、ホールクロップサイレージ、稲発酵粗飼料、識別性
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背景・ねらい |
飼料イネは、飼料自給率の向上と水田の有効利用を図る作物として、さらには安全・安心な飼料として注目を集めるようになっている。畜産業が盛んな九州では飼料イネにかける期待が大きく、特にホールクロップサイレージ用水稲の作付け面積は2002年には2000haに達している。しかし、飼料イネ品種として作付けの多い「モーれつ」は脱粒しやすく、一般の主食用品種が転用されている場合も少なくない。そこで、地上部全重が重く、ホールクロップサイレージ品質が良好で識別性を備えた九州地域向けホールクロップサイレージ用水稲品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「ニシアオバ」(旧系統名:西海204号)は、多収・大粒品種の育成を目的として、極大粒・多収の「北陸130号」(後の「オオチカラ」)を母、極大粒のSLG9(後の「ひとはな」)を父とする交配組み合わせから九州沖縄農業研究センターで育成された品種である(表1)。
- 出穂期、成熟期は「ヒノヒカリ」より5日程度遅く、熟期は“中生の晩”に属する粳種である。「ヒノヒカリ」に比べ、稈長は10cm程度長く、穂長もやや長く、穂数は少ない。草型は“穂重型”で、耐倒伏性は“中”である(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子“Pia、Pik-m”を持つと推定され、葉いもちおよび穂いもち圃場抵抗性はともに“中”である。白葉枯病圃場抵抗性は“やや弱”である。脱粒性は“難”で、穂発芽性は“易”である(表1)。
- 全重は「ヒノヒカリ」よりも10%程度重く、「モーれつ」並に多収である。特にワラ重は「ヒノヒカリ」よりも20%近く重い。推定TDN(可消化養分総量)含量は「ヒノヒカリ」と同程度で「モーれつ」よりやや高く、推定TDN収量は「ヒノヒカリ」より約10%、「モーれつ」より3%程度高い。千粒重は「ヒノヒカリ」の約1.5倍で極大粒であり、主食用品種との識別が容易である(表1)。
- ホールクロップサイレージの発酵品質はロールベーラ、サイロ等いずれの調製法をとっても良好で、牛の嗜好性も良い(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 識別性を備えたホールクロップサイレージ用水稲として九州地域などで利用できる。飼料作物として大分県で普及が予定されている。
- 耐倒伏性は強くないので極端な多窒素栽培はさける。
- いもち病に対しては九州では罹病しにくい抵抗性遺伝子を持つため、一般にはいもち病発生の可能性は小さい。しかし、圃場抵抗性は強くはないため、侵害菌の発生動向に注意する。
- 白葉枯病にはやや弱であるので、常発地帯では作付けしない。
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図表1 |
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カテゴリ |
いもち病
飼料作物
飼料用作物
新品種
水田
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
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