紫サツマイモ「アヤムラサキ」アントシアニンの体内吸収性と生理作用

タイトル 紫サツマイモ「アヤムラサキ」アントシアニンの体内吸収性と生理作用
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2002~2004
研究担当者 永井沙樹
沖 智之
寺原典彦(南九州大)
小林美緒
松ケ野一郷
須田郁夫
杉田浩一
西場洋一
増田真美
竹市美和子
福井敬一(宮崎JA研)
発行年度 2004
要約 ラットに経口投与された紫サツマイモ由来アシル化アントシアニンは、投与後30分~2時間血中に存在する。その存在中に、血液流動性は改善され、収縮期血圧は低下する。長期給餌試験でも給餌期間中は収縮期血圧低下が認められる。
キーワード 紫サツマイモ、アントシアニン、血液流動性、血圧降下作用
背景・ねらい アシル化アントシアニン(糖部に有機酸が結合したアントシアニン)を含む紫サツマイモ「アヤムラサキ」から作ったジュースは、ヒトボランティア試験において、血圧降下作用や肝機能改善効果などの機能性を発現するが、その関与成分およびメカニズムは十分に解明されていない。そこで「アヤムラサキ」から紫サツマイモアントシアニン含有物(PSP-ANT)を調製し、実験動物を用いて、含まれているアントシアニンの体内吸収性および発現される生理作用を明らかにする。
成果の内容・特徴 1.
「アヤムラサキ」から調製した紫サツマイモアントシアニン含有物(PSP-ANT)をラットに経口投与すると、血中にアントシアニンが検出される(図1)。紫サツマイモに含まれているアシル化アントシアニンは体内吸収されることを示す。
2.
ラット血中に存在するアントシアニンの中で濃度の高いのはYGM-5b(peonidin 3-caffeoylsophoroside-5-glucoside、分子量949)である(図1)。PSP-ANT投与30分後に最高レベルに到達し、2時間後までは血中に存在する。
3.
ラットにストレス(断水、断食、固定器にて拘束)を2回加えると血液流動性を悪化させることができる(図2)。このモデルラットに、血液流動性の測定1時間前にPSP-ANTを経口投与しておくと、血液流動性は改善する(値が平常値近くまで戻り、血液がサラサラになる)(図2)。
4.
PSP-ANTを単回経口投与すると、高血圧自然発症ラットの収縮期血圧は低下する(図3)。その降圧作用は投与2時間後には現れ、8時間後でも持続している。
5.
PSP-ANTの血圧降下作用は、PSP-ANTを0.1%あるいは0.2%混合した食餌を用いた長期給餌でも観察される(図4)。PSP-ANTの給餌を中断すると、血圧はコントロール群と同レベルになる。
成果の活用面・留意点 1.
本成果は、紫サツマイモに含まれるアントシアニンについて明らかにされた機能性であり、他の作物のアントシアニン類(約400種存在)でも同様な機能があるとは保証していない。
2.
PSP-ANT調製物の特性:「アヤムラサキ」を90℃10分加熱(アシル化されているアントシアニンであるため熱安定性が高い)、マスコロイダー等で磨砕、複合酵素処理、Diaion HP-20カラムでの溶出、減圧濃縮処理等を施し調製。アントシアニン含量は124.4mg-YGM-5b相当量/gで、その90.0%が8種の主要アントシアニンで占められている。なお原料イモのアントシアニン含量は4.2mg-YGM-5b相当量/gである。
図表1 226576-1.gif
図表2 226576-2.gif
図表3 226576-3.gif
図表4 226576-4.gif
カテゴリ かんしょ 機能性

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる