タイトル | 植物に対して生理活性を有するエンドファイト産生新規物質 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 1997~2001 |
研究担当者 |
蝦名真澄 荒谷 博 小林 真 中川 仁 |
発行年度 | 2001 |
要約 | エンドファイト- Neotyphodium loliiはエルゴスタン骨格を有する5種のステロイドを産生する。これらのエルゴステロールおよびその関連化合物は幼植物の生長に影響を与えるが、その程度・方向性は植物の種類によって異なる。 |
キーワード | 育種、牧草類、エンドファイト、Neotyphodium lolii、エルゴステロール |
背景・ねらい | イネ科牧草に共生するエンドファイトはいくつかのアルカロイドを産生し、耐病虫性、耐乾燥性などの有用形質を宿主に付与することが知られている。しかし、他にどのような物質を産生するかについては未知の部分が多い。本研究ではエンドファイト新規産生物質を単離同定すると共に、幼植物の生長阻害率に対する影響を明らかにして、産生物質の基礎情報を得ることを目的とする。 |
成果の内容・特徴 | 1. エンドファイト- Neotyphodium lolii培養菌糸より、エルゴスタン骨格を有する5種のステロイド(図1)、 ergosterol(化合物1) 5α,6α-epidioxyergosta-6,22-dien-3β-ol (化合物2) 5α,6α-epidioxyergosta-6,9(11),22-trien-3β-ol (化合物3) ergosta-7,22-dien-3α,5α,6β-triol (化合物4) ergosta-7,22-dien-3β-ol (化合物5) を初めて単離・同定した。 2. 化合物1~化合物5 は、レタス発芽種子の生育に対して概ね阻害活性を示す傾向を有し、化合物1は他の化合物と比較して強い活性を示した。一方、宿主であるペレニアルライグラス幼植物の生育に対しては、概ね促進する傾向があることが明らかになった(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. エルゴステロール類は光や酸素により化学的分解反応が進行しやすいため、取扱いに注意を有する。 2. 化合物 2 は細菌増殖抑制活性が報告されており、宿主の耐病性に寄与している可能性がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 育種 乾燥 レタス |