刈払い及び放牧に対するススキ草地植生の長期的反応

タイトル 刈払い及び放牧に対するススキ草地植生の長期的反応
担当機関 畜草研
研究期間 1992~2001
研究担当者 桐田博充
高橋 俊
高橋繁男
斎藤吉満
坂上清一
山本嘉人
芝山道郎
酒井聡樹
西村 格
中神弘詞
北原徳久
林 治雄
発行年度 2001
要約 放任、刈払いおよび放牧処理が継続されているススキ草地において植生を20年間に渡り毎年観測した。ススキ草地の植生は、放任処理では観測開始後15年目頃から急変する。刈払い処理では長期間安定し、放牧処理では処理開始後5年目頃からほぼ一定速度で変化する。
キーワード 刈払い、ススキ草地、生態、長期観測、放棄、放牧、野草類
背景・ねらい 野草地は環境負荷の少ない持続的生産と多様な生物相の維持とを両立できる生態系として注目されているが、利用放棄の増加により激減している。野草地の持続的な生産と保全策を確立するうえでの基礎資料を得るため、東北地方におけるススキ草地を対象とし、その植生動態を長期に渡り観測する。
成果の内容・特徴 1.
1982年、供試ススキ草地に放任区、刈払い区、放牧区を設定した。刈払い区では隔年で11月に地上部を刈払い、放牧区には1983年より毎年6月と9月に2週間前後肉用牛十数頭を放牧した。毎年9月上旬に、各処理区20定点(2 m四方)内に出現する植物種の被度と植物高を測定した。処理区および生活型(木本種と草本種)ごとに植物種の被度と植物高から地上部現存量を推定し、植生動態を解析した。
2.
放任区では設定後約15年目(放棄されてから約25年目)から木本種の現存量が急増する。刈払い区では草本種からなる群落として経年的に現存量が漸増する。放牧区では設定後5年間は現存量が漸減し、その後増加する。これは木本種の増加によるものである(図1-bezier 曲線による補間)。
3.
放任区ではススキが減少し、タニウツギが増加する。刈払い区ではほとんどの植物種が維持されるが、ワラビ、トダシバが増加し、トリアシショウマが減少する。放牧区ではススキは減少し、タニウツギ、ワラビ、アカマツが増加する(表1)。
4.
放任区では経年的に種多様度が増加するが、設定後約15年目から減少に転じる。刈払い区では種多様度は安定的に推移する。放牧区では種多様度は急増し、設定後20年を経過しても増加傾向が続いている(図2-bezier 曲線による補間)。
5.
放任区では設定後約15年で植生が急変する。刈払い区では植生が安定的に維持される。放牧区では設定後約5年までは植生が変わらないが、その後ほぼ一定速度で変化する(図3-gamma 分布による適合曲線)。
成果の活用面・留意点 1.
ススキ草地の植生遷移に関する数少ない長期観測であり、その生態についての基盤データとして活用できる。
2.
本報告は東北地方のススキ草地に関する事例であるので、国内全般のススキ草地の植生動態を論じる際には注意を要する。
図表1 226749-1.gif
図表2 226749-2.gif
カテゴリ 肉牛 わらび

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