ラクトコッカス・ラクチス亜種の簡便な検出・同定法

タイトル ラクトコッカス・ラクチス亜種の簡便な検出・同定法
担当機関 (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 1997~1999
研究担当者 岡本隆史
小林美穂
野村将
発行年度 2002
要約 乳酸菌ラクトコッカス・ラクチス亜種を正確、簡便、かつ迅速に検出・同定するPCR法を開発した。ラクトコッカス・ラクチスの亜種分別は一部の株で遺伝型と表現型が一致しないが、本法では増幅産物の長さが遺伝型と一致し、その制限酵素断片長が表現型と一致する。
キーワード 畜産物・品質、細菌、乳酸菌、PCR、同定
背景・ねらい
乳酸菌ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)は乳製品製造、特にチーズ製造に必須で、発酵スターターとして原料乳に接種される。ラクトコッカス・ラクチスはその微生物学的性状の違いからラクトコッカス・ラクチス亜種ラクチス(L.
lactis subsp. lactis)、とラクトコッカス・ラクチス亜種クレモリス(L. lactis subsp. cremoris)の二亜種に分類され、実用の場では使い分けられることが多い。通常菌種の同定は表現形質またはDNA情報に基づいて行われる。ところがラクトコッカスでは、一部の菌株で表現形質による分類とDNA情報による分類に違いが生じ、混乱を生んでいる。本課題では、ラクトコッカス・ラクチスの二亜種を分別する表現形質の一つであるグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)に着目し、塩基配列を解析してラクトコッカス・ラクチスに特異的なPCRプライマーを設計し、亜種レベルまで正確、迅速、かつ簡便に検出・同定する方法を開発した。
成果の内容・特徴
1.
亜種クレモリスのGADをコードするgadB遺伝子では、翻訳領域のフレームシフト変異と3'非翻訳領域の約40bpの塩基欠失が認められる。フレームシフト変異によって制限酵素AseIの認識サイトが消失している(図1)。
2.
設計したPCRプライマーは変異部位を増幅領域に含む(図1)。
3.
設計したプライマーを用いてラクトコッカス・ラクチス全DNAをテンプレートとしてPCRを行うと、亜種ラクチスからは約600bp、亜種クレモリスからは約560bpの断片を生じ、増幅断片長の違いは遺伝型に一致する。遺伝型はクレモリスで表現型はラクチスであるMG1363株は560bpの断片を生じる。他の乳酸菌からはDNA増幅は認められない(表1)。
4.
PCR断片をAseI消化すると、GAD陽性株は切断されるのに対してGAD陰性株は切断されず、制限酵素部位の有無は表現型と一致する(表1)。
5.
調製した全DNAの代わりに菌体の水懸濁液をテンプレートに用いても、菌濃度が104cfu/ml以上ならば同様の結果を得られ。
成果の活用面・留意点
1.
本方法を用いれば、菌種不明の乳酸菌からDNAを調製することなく、正確、迅速、かつ簡便にラクトコッカス・ラクチスを選択し、亜種まで同定することができる。
2.
試料中のラクトコッカス・ラクチスの生菌数が他の細菌に比較して極端に低い場合等、平板培地上で検出できない場合にもラクトコッカス・ラクチスを検出することができる。
図表1 226771-1.gif
図表2 226771-2.gif
カテゴリ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる