環境温度の急変は牛呼吸器免疫能を変調させる

タイトル 環境温度の急変は牛呼吸器免疫能を変調させる
担当機関 (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2001~2002
研究担当者 石崎宏
花房泰子
仮屋喜弘
発行年度 2002
要約 温熱刺激を受けた牛から採取した気管支肺胞洗浄(BAL)液中のマクロファージ化学発光(CL)能は低下し、リンパ球CD4+/CD8+比は上昇することから、温度環境の急変は呼吸器免疫能を変調させ、呼吸器病発症の一誘因となることが示唆される。
キーワード 乳牛、飼養管理、気管支肺胞洗浄液、呼吸器、免疫、化学発光能、CD4+/CD8+
背景・ねらい
入牧時の輸送や入牧後の環境変化にともない、放牧家畜が呼吸器等の損耗性疾病に罹患するケースは多い。本症の誘因には、環境の急変がストレッサーとして呼吸器に直接作用し、組織内が昜感染状態になっていることが考えられるが、その詳細は不明である。本研究では、放牧現場で遭遇し得る環境温度の急変をストレッサーとしてホルスタイン種去勢育成牛に負荷し、その時の呼吸器局所におこる免疫能動態について検証する。
成果の内容・特徴
1.
暑熱感作では、24℃・14日間飼養し、その後1日あたり34℃・6時間および24℃・18時間の周期で7日間感作した後、再び24℃・7日間飼養した。一方、寒冷感作では、20℃・14日間飼養し、1日あたり0℃・12時間および20℃・12時間の周期で14日間感作した後、再び20℃・7日間飼養した。採材は7日ごと定刻午前9時にBAL液を回収し、分析に供した(図1)。
2.
呼吸器内に最も多く存在し、異物排除に重要な働きを担うマクロファージの機能をCL法により評価すると、CL能は暑熱感作により有意に低下(p0.05)し、感作終了後には感作前レベルにまで回復する(図2A)。一方、寒冷感作によりCL能は漸次減少するが、感作終了後には感作前レベル以上に増加する。
3.
呼吸器内でマクロファージに次ぎ多く存在し、細胞性免疫に重要なリンパ球の構成について調べると、暑熱および寒冷により、CD4+細胞の増加に伴うCD4+/CD8+比(呼吸器免疫評価指標の一種)の上昇が認められ、感作後はすみやかに回復する(図2B)。
4.
環境温度の急変がストレッサーとして呼吸器系に作用し、局所内免疫能を変調させることから、これが呼吸器病発症の一誘因となることが示唆される。
成果の活用面・留意点
1.
牛の呼吸器内における局所免疫機序を知る上で有用な基礎データとなる。
2.
本法によるBAL液採取には、ある程度の熟練が必要である。また、採取法自体による呼吸器への影響はない。
図表1 226827-1.gif
図表2 226827-2.gif
カテゴリ 飼育技術 乳牛 輸送

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