タイトル | 黒毛和種雌牛の子宮内膜におけるG-CSFおよびMRJ遺伝子発現動態 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 2003~2003 |
研究担当者 |
大島一修 竹之内直樹(東北農研) 堂地修(酪農学園大) 渡辺裕子(生研機構) 福島護之(兵庫総農技セ) 小島孝敏 小松正憲(畜草研) 山本直幸 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 黒毛和種雌牛の子宮内膜におけるgranulocyte colony stimulating factor(G-CSF)とmammalian relative of DnaJ (MRJ)遺伝子発現は妊娠日齢で異なる。妊娠牛の子宮内膜におけるG-CSFおよびMRJ遺伝子発現は、妊娠初期で高い傾向がある。 |
キーワード | ウシ、家畜繁殖、子宮内膜、遺伝子発現、G-CSF、MRJ |
背景・ねらい | 顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony stimulating factor:G-CSF)は造血系のサイトカインの一つで、ヒトの母体胎盤と胎児胎盤とで、タンパク質とレセプターが存在することから、胎児の成長や胎盤形成に関与すると考えられている。mammalian relative of DnaJ (MRJ)は分子シャペロンの一つで、マウスの胎盤形成の一過程であるchorioallantoic fusionに必須の物質である。ウシの妊娠過程におけるG-CSFとMRJの動態についてはほとんど明らかにされておらず、子宮内膜でのG-CSFとMRJ遺伝子の発現動態を明らかにすることは妊娠成立、維持機構を解明する一助となる。G-CSFおよびMRJ遺伝子の子宮内膜での発現を定量的に測定することによって、ウシ妊娠との関連を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 発情周期13~14日、妊娠20~140日齢の黒毛和種雌牛の子宮内膜における、定量的RT-PCR検討結果である。なお、子宮内に正常な受胎産物、胎子が確認された個体を妊娠と判断している。G-CSFおよびMRJ遺伝子発現量はglyceraldehyde-phosphate-dehydrogenase (グリセルアルデヒドリン酸脱水素酵素:GAPDH)の発現を内部標準として算出した相対値を示している。ウシの子宮内膜は胎盤を形成する子宮小丘部とそれ以外で子宮腺が存在する子宮小丘間部に分けられるので、遺伝子発現の解析も両部位を分けて行っている。 2. 子宮内膜におけるG-CSF、MRJ遺伝子発現は異なるパターンを示す(図1、2)。 3. 子宮小丘部のG-CSF遺伝子発現は、発情周期13~14日、妊娠20~21、30~36日でほとんど変わらないが、妊娠48~49日では妊娠20~21日よりも低い。子宮小丘間部のG-CSF遺伝子発現も発情周期と妊娠20~21、30~36日で変わらないが、妊娠48~49、74~140日では発情周期よりも低い(図1)。 4. MRJ遺伝子発現は子宮小丘部、子宮小丘間部ともに発情周期13~14日と妊娠20~21日で変わらないが、妊娠30日齢以降では妊娠20~21日よりも低い(図2)。 5. 妊娠ステージとの関係からウシの妊娠過程において、G-CSFは初期の着床から初期の胎盤形成時期に、MRJは初期の着床時期に子宮内膜で高発現を示す。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ウシの妊娠成立、維持機構を解明する上での基礎的情報になる。 2. 遺伝子発現の動態であるので、タンパク質発現の動態とズレがある可能性がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 繁殖性改善 |