放牧繁殖牛の肉にはカルニチンなどの機能性成分が豊富である

タイトル 放牧繁殖牛の肉にはカルニチンなどの機能性成分が豊富である
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2001~2003
研究担当者 柴 伸弥
松崎正敏
常石英作
発行年度 2003
要約 長期間放牧飼養した繁殖雌牛の肉には、一般的な肥育牛と比較して、脂肪燃焼機能成分であるカルニチンが著しく多く、運動機能に関わるクレアチンも有意に多い。さらに、共役リノール酸(CLA)やn3不飽和脂肪酸が多く、食品栄養学的に好ましい脂肪酸組成を示し、機能性に富む牛肉と考えられる。
キーワード 肉用牛、カルニチン、クレアチン、脂肪酸、機能性、放牧、畜産物・品質
背景・ねらい
畜産物(特に食肉)中の機能性成分は、基本的にヒトも体内合成可能であるため注目されてこなかった。しかし、偏った食生活や老化などによる合成量の低下と、ストレス社会における消耗などによる必要量の増大により、健康な家畜が体内に有している貴重な機能性成分を、食事から摂取することの意義は深まっていると考えられる。牛肉中の機能性成分としては、抗疲労物質としてのカルニチンや運動機能向上に関わるクレアチンなどが注目されている。カルニチンについては加齢牛や増体成績の劣る牛で多いことが明らかにされている。そこで、長期間放牧飼養された繁殖雌牛の牛肉中機能性成分含量および脂肪酸組成を、一般的な肥育牛肉と比較する。
成果の内容・特徴 1.
長期間にわたり放牧飼養されてきた13歳と19歳・平均体重510kgの黒毛和種繁殖雌牛2頭(放牧雌区)のロース芯における遊離型カルニチン含量は202.3mg/100gと、27ヵ月齢・体重721.3kgの黒毛和種去勢肥育牛6頭(肥育区)の68.3mg/100gと比較して、著しく高い値となる(図1)。体脂肪燃焼機能の大きい機能性に富む牛肉である。
2.
放牧雌区のロース芯クレアチン含量は4.5mg/gと、肥育区の3.9mg/gと比較して、有意に高い値となり(図2)、放牧繁殖雌牛の肉は運動機能向上への貢献が期待される牛肉である。
3.
皮下脂肪における共役リノール酸(c9t11-CLA)割合は、放牧雌区が1.37%、肥育区が0.50%と、放牧繁殖雌牛で有意に高い値となる(表1)。
4.
ロース芯リン脂質画分における、牧草由来のn3不飽和脂肪酸割合は、放牧雌区が8.3%、肥育区が1.1%となり、食品栄養学的により多くの摂取が期待されているn3不飽和脂肪酸割合が高いことから、放牧繁殖雌牛の脂肪酸組成は優れている(表1)。
成果の活用面・留意点 1.
放牧繁殖雌牛からの牛肉を機能性成分含量の面から評価でき、放牧飼養の普及に貢献する。
2.
一般的な肥育牛肉と比較して食味性が劣るため、これら放牧牛肉に適した調理法を検討する必要がある。
図表1 226931-1.gif
図表2 226931-2.gif
図表3 226931-3.gif
カテゴリ 機能性 機能性成分 肉牛 繁殖性改善 良食味

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