サイレージの好気的変敗を抑制できる乳酸菌TM1・TM2株

タイトル サイレージの好気的変敗を抑制できる乳酸菌TM1・TM2株
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2002~2004
研究担当者 加茂幹男
河本英憲
山田明央
小林良次
青木康浩
張 建国
野中和久
蔡 義民
発行年度 2004
要約 飼料作物から新規に分離したヘテロ発酵型乳酸菌TM1株またはTM2株をトウモロコシや予乾イタリアンライグラスのサイレージ調製時に添加すると、酢酸含量が増加してサイロ開封後の好気的変敗を抑制できる。特にTM1株は現在の市販菌株と同等以上の能力を持つ。
キーワード 飼料利用、乳酸菌、トウモロコシ、サイレージ、好気的変敗
背景・ねらい トウモロコシや低水分グラスのような材料ではサイレージ発酵品質の良いものが得られやすいが、サイロ開封後の好気的変敗が問題になっている。好気的変敗が起こると、サイレージの栄養価や摂取量の低下、ひいては家畜の健康の悪化や材料の完全廃棄など、畜産業において重大な損失が生じる。従来からプロピオン酸などの化学製剤が好気的変敗の抑制に有効であることは知られているが、これらの化学製剤はコストが高く、取り扱いにくいという問題点がある。そこで、より安価にサイレージの好気的変敗を抑制可能な乳酸菌株を選抜する。
成果の内容・特徴 1.
飼料作物から分離・選抜した乳酸菌TM1株とTM2株は市販されているLactobacillus buchneriとは異種のLactobacillus属のヘテロ発酵型乳酸菌で、pH3.8で生育が可能であり、サイレージ調製に利用できる(表1)。
2.
選抜乳酸菌TM1株またはTM2株をトウモロコシと予乾イタリアンライグラスサイレージに添加することにより、サイレージ中の酵母増殖を抑え、好気的変敗の指標である温度上昇を遅延させることができ、特にTM1株の効果が優れている(図1)。
3.
TM1株またはTM2株を添加したトウモロコシサイレージの貯蔵損失(5ヶ月間貯蔵後の乾物減少量)と変敗損失(好気的状態に2日間放置後の乾物減少量)を測定した結果、無添加区と比べ、総乾物損失(貯蔵損失+変敗損失)を顕著に減少させる(図2)。
4.
地下サイロを用いて、TM1株を添加(添加量約6.7×105cfu/g原物)したトウモロコシサイレージには無添加区よりも酢酸含量が増加することによって好気的安定性も改善される(表2)。
5.
以上より、特にTM1株は現在市販されているL. buchneri と同等以上のサイレージ変敗防止機能を持つ実用性の高い新規へテロ発酵型乳酸菌である。
成果の活用面・留意点 1.
TM1株、TM2株とも、サイレージの好気的変敗を抑制する添加剤として市販化を希望する企業に配布可能。
2.
好気的変敗防止能力としてはTM1株が優れるが、TM2株添加では乳酸含量が高く、開封後の利用時間が短い場合の発酵品質は市販菌やTM1株よりも有利となる。
図表1 226954-1.gif
図表2 226954-2.jpg
図表3 226954-3.jpg
図表4 226954-4.gif
カテゴリ イタリアンライグラス コスト 市販化 飼料作物 とうもろこし トウモロコシサイレージ

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