泌乳牛の維持における糞中カリウム排泄量および真のカリウム吸収率

タイトル 泌乳牛の維持における糞中カリウム排泄量および真のカリウム吸収率
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2002~2004
研究担当者 大谷文博
甘利雅拡
栗原光規
田鎖直澄
樋口浩二
野中最子
鈴木知之
発行年度 2004
要約 泌乳牛の乾物摂取量当たりのカリウム摂取量と見かけのカリウム吸収量の関係式から、維持における糞中カリウム排泄量は乾物摂取量当たり3.57g、真のカリウム吸収率は95.7%と計算される。
キーワード カリウム、糞中排泄量、吸収率、乳用牛、畜産環境、家畜生理・栄養
背景・ねらい 近年、我が国の酪農現場において、圃場への過剰な堆肥投入に起因した乳牛-堆肥-土壌-飼料とつながる高カリウムの悪循環により、乳牛の疾病や生産性の低下などが引き起こされるという問題が顕在化してきた。この悪循環の改善には、乳牛へのカリウム給与水準を生産性を損なわない範囲で必要最低限のレベルに減らしていく栄養管理が重要となるが、そのためには乳牛のカリウム要求量を正確に把握する必要がある。
そこで、乳牛のカリウム要求量を推定するために必要な指標のうち、カリウムの糞中排泄に関わる要求量を的確に示す指標について、泌乳牛を用いた適温条件下の89例の消化試験データを基に明らかにする。
成果の内容・特徴 1.
消化試験データが得られた試験飼料の飼料中カリウム含量の範囲は0.87-2.42%であり、カリウム給与水準の低い領域も網羅されたものである(表1)。
2.
見かけのカリウム吸収率は平均で74.8%であるが、最小48.5%から最大85.0%とその範囲は広く(表1)、カリウム摂取量との相関も低い(r2=0.3842、図1)ことから、カリウムの糞中排泄量を推測する指標としては適当ではない。
3.
乾物摂取量当たりのカリウム摂取量と見かけのカリウム吸収量は次式の関係にあり、高い相関(r2=0.9489)が認められる(図2)。
  見かけのK吸収量(g/DMIkg・日)=0.9571×K摂取量(g/DMIkg・日)-3.4139
4.
この関係式から、見かけの吸収量が0となる時点の排泄量は乾物摂取量(kg)当たり3.57gと計算され、これは維持における糞中カリウム排泄量と考えられる。また、関係式の回帰係数から真のカリウム吸収率は95.7%と計算される。
成果の活用面・留意点 1.
乳牛のカリウム排泄量低減化のために精密なカリウム要求量を推定する際の重要な指標となる。また、乳牛のカリウム代謝を明らかにするための基礎データとして活用できる。
2.
本試験データには飼料中カリウム含量が2.5%以上のような高カリウム条件のデータは含まれない。
3.
この指標の他に産乳と増体に要するカリウム量および維持における尿中カリウム排泄量を明らかにすれば、泌乳牛のカリウム要求量の推定が可能となる。
図表1 226973-1.gif
図表2 226973-2.gif
図表3 226973-3.gif
カテゴリ 乳牛

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる