乳牛の脂肪及び乳腺組織におけるレジスチンの発現

タイトル 乳牛の脂肪及び乳腺組織におけるレジスチンの発現
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2001~2004
研究担当者 伊藤文彰
櫛引史郎
小松篤司
発行年度 2004
要約 インスリン感受性の低下に関連するホルモンであるレジスチンがホルスタイン種の脂肪及び乳腺組織で発現しており、その発現のレベルは脂肪組織では泌乳期で高い傾向に、一方で乳腺組織では乾乳期で高い傾向にある。
キーワード 家畜生理、乳用牛、レジスチン、インスリン感受性、脂肪、乳腺
背景・ねらい 泌乳牛の乳量を決める大きな要因は乳腺組織へのグルコースの供給量であり、その供給量を増加させるのは乳腺組織以外で起こるインスリン感受性(インスリンの効きやすさ)の低下に起因するが、その作用機序については不明のままである。本課題の目的は脂肪組織から分泌され、インスリン感受性に深く関与するホルモン、レジスチンのホルスタイン種泌乳牛での発現レベルを明らかにすることにある。
成果の内容・特徴 1.
ヒトレジスチンmRNAの配列を基に検索したEST解析で登録されているウシの配列はヒトレジスチンと相同性を持つ。この配列から設計されたprimerを基に行うRT-PCRでは予想されるサイズの位置に増幅産物を示す。ウシの内蔵脂肪及び乳腺組織でのレジスチンmRNA発現が認められる(図1)。
2.
リアルタイムPCRによるmRNA量の測定では脂肪組織におけるレジスチンmRNA発現は乾乳期に比べ泌乳期で有意に高い(図2)。泌乳牛で起こるインスリン感受性の低下はその一部は脂肪組織で合成されるレジスチンの働きによるものと考えられ、脂肪組織が分泌器官として乳量のコントロールに関与していることを示す初めての知見である。
3.
乳腺組織におけるレジスチンmRNA発現は脂肪組織とは異なり泌乳期に比べ乾乳期で有意に高い(図3)。
成果の活用面・留意点 1.
泌乳最盛期における乳腺組織中レジスチン発現量の低下はインスリン非感受性とされる同組織における新規グルコース取り込み機構の存在を示唆し、インスリン感受性制御機構の解明に役立つ情報となる。
2.
インスリン感受性にはいくつかのホルモン、サイトカイン及び栄養素が複合的に関与しているのでその他因子に関する調査も必要である。
図表1 226985-1.jpg
図表2 226985-2.gif
図表3 226985-3.gif
カテゴリ 乳牛

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