タイトル | トウモロコシのサイレージ調製における排汁割合と熟期別養分損失 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 | 2002~2004 |
研究担当者 |
久米新一 秋山典昭 小酒井貴晴 青木康浩 大下友子 野中和久 |
発行年度 | 2004 |
要約 | トウモロコシサイレージ調製時の排汁割合は生育に伴い乾物率が増加するにつれ減少し、乾物率28%で0になると予想される。原料中の単少糖類の大部分は有機酸発酵に消費されるが、デンプンの大部分はサイレージ中に残存する。サイレージ調製後の養分収量は、黄熟後期刈りに比べ、他の熟期では7-27%低い。 |
キーワード | トウモロコシ、サイレージ、排汁、デンプン、乳酸、飼料利用 |
背景・ねらい | 飼料用トウモロコシは飼料自給率向上および環境保全に配慮した乳牛の栄養管理技術には不可欠の飼料作物でさらなる利用が期待されている。一方、北海道では、飼料用トウモロコシの収穫適期幅は短く、特に冷夏の場合、高水分のまま、サイレージに調製せざるを得ないケースが多く、排汁による栄養損失が予想される。トウモロコシの場合、糊熟期以降の栄養価がほとんど変わらないとされているが、サイレージ調製時の排汁発生量やそれに伴う栄養損失の程度は明らかではない。そこで、2品種のトウモロコシを用いて絹糸抽出期の2週間後から5回収穫し、サイレージ調製における熟期別の養分損失を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. トウモロコシをサイレージ調製した時の排汁割合は、生育に伴い乾物率が増加するにつれて減少し、乾物率が28%以上になると0になると予想される(図1)。 2. 収穫時期がはやく、水分含量が高いものほど、有機酸生成量が高く、特に、糊熟期以前では乳酸含量が6%を超えるサイレージが調製される(図2)。 3. 茎葉に蓄積した単少糖類はいずれの収穫時期も、サイレージ化に伴い詰め込み原料に対して10-20%に低下するが、子実に蓄積したでんぷんは、黄熟初期以降は大部分がサイレージ中に残存する(図3)。 4. サイレージの乾物消化率は生育が進むにつれて増加し、黄熟後期刈りのトウモロコシが最も高い。このため、貯蔵中の可消化養分回収率は、黄熟後期を100とした場合、乳熟期で78、糊熟期で85、黄熟初期で93、完熟期で92となる(表1)。 5. 以上の結果から、トウモロコシをサイレージとして飼料利用する場合、乾物率が28%以上となる黄熟中後期に収穫することで排汁割合や栄養価を加味した養分損失を最小に抑えることができる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. トウモロコシサイレージ調製時の養分損失の低減に活用できるとともに、トウモロコシのサイレージ調製時の養分損失量に関する知見として、品種選定の有効な情報としても活用できる。 2. 本データは、サイレージの標準的な詰め込み密度である700-800kg/m3で、設定切断長2cmのトウモロコシをスチールサイロ(50l)に密封貯蔵して得られた知見である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 管理技術 飼料作物 飼料用作物 とうもろこし トウモロコシサイレージ 乳牛 品種 |