効率的なQTL探索方法の開発と活用法

タイトル 効率的なQTL探索方法の開発と活用法
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 佐々木修
石井和雄
長嶺慶隆
韮沢圭二郎
発行年度 2005
要約  ポリジーンとQTLの効果を同時に推定できる数学的方法を新たに開発した。本法により効率的なQTL探索と遺伝的パラメータ推定が可能となり、純粋種の豚の2つの染色体上に成長速度、脂肪厚に関与するQTLが存在することを明らかにした。
キーワード 家畜育種、ブタ、QTL、ポリジーン
背景・ねらい  家畜の遺伝的能力は、各々の効果は小さいが非常に数の多いポリジーン(微働遺伝子)によって支配されている。近年、その中でも大きな効果を持つQTL(量的遺伝子座)が報告されているが、これらは主に品種間の交雑種を用いて発見されたものである。しかし現実には、牛では純系のホルスタイン種や黒毛和種、豚では系統造成事業における品種内・系統内の改良が求められており、品種内での効率的なQTL探索方法の開発が課題となっている。そこで、純粋種を対象として、QTLとポリジーンを同時に解析できる方法を検討し、実際に純粋種の豚を用いて新たな探索方法の有効性を確認した。
成果の内容・特徴 1.
既知のマーカー遺伝子を指標として用いることにより、ポリジーンとQTL遺伝子の両者を同時に推定できる。この場合、そのマーカーと連鎖するQTLの存在を推定するため、親の持つ一対のマーカー遺伝子のどちらが子へ伝わったかを判定しなければならない。その判定法として新たな数学的決定法であるSMD(Simple deterministic)法を開発した。このSMD法と従来法(最小二乗法)を用いて、5つの純粋種の豚集団(ランドレース3、大ヨークシャー1,デュロック1集団)におけるQTLを探索したところ、いずれも3集団でQTLが発見されたが、SMD法でより高い指標値が得られた(図、表1)。
2.
2つの方法で独立に発見されたQTLは、互いに各染色体上での位置も近く、SMD法が有用なことが示された(表1)。また、脂肪厚(Bの第4染色体、Cの第7染色体)に見られるように、従来法では有意とならなかった位置でもQTLの存在を明らかにできる。
3.
この新たな手法により、3つの純粋種の豚集団(1∼3)のデータを用いて成長速度や皮下脂肪厚のQTLの遺伝子型値とポリジーンの遺伝分散を計算し遺伝率を推定した結果、QTLの遺伝率は8.6∼17.3%、ポリジーンの遺伝率は1.9∼40.0%であった(表2)。一般にQTLの遺伝率はポリジーンの遺伝率よりやや小さいが、形質によってはポリジーンの遺伝率より大きなものもある。
成果の活用面・留意点 1.
純粋種内においても、予想以上に大きな効果を持つQTLが存在するが、選抜にあたっては、ポリジーンの効果とQTLの効果を同時に考慮した選抜が必要である。
2.
本手法は他の家畜種にも適応可能である。
図表1 227063-1.gif
図表2 227063-2.gif
図表3 227063-3.gif
カテゴリ 育種 品種

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