タイトル | 浮遊物質の除去処理によって豚舎汚水の全亜鉛、全銅濃度は低減化できる |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 1990~2005 |
研究担当者 |
安田知子 花島 大 黒田和孝 田中康男 福本泰之 鈴木一好 和木美代子 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 豚舎汚水中の全亜鉛濃度および全銅濃度は浮遊物質濃度と高い相関があることから、沈殿処理など浮遊物質濃度を低減化する手段により全亜鉛濃度および全銅濃度もまた低減化できる。 |
キーワード | 亜鉛、銅、浮遊物質、汚水、浄化、ブタ、畜産環境 |
背景・ねらい | 養豚では一般的に豚の成長促進などを目的として飼料に亜鉛および銅が添加されているが、豚が吸収しきれない亜鉛および銅は排泄物中に排泄され、その一部は豚舎汚水の浄化設備に流入している。一方、浄化設備等により浄化された処理水を経営外へ放流する場合、水質汚濁防止法により全亜鉛濃度および全銅濃度はそれぞれ5および3mg/L以下といった排水基準値以下にまで低減化することが求められている。そこで、豚舎汚水中の亜鉛および銅の存在形態を明らかにするとともに、豚舎汚水中の全亜鉛濃度および全銅濃度を低減化する手段を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 豚舎汚水中の亜鉛および銅はその多くが水に不溶性の形態で存在し、全亜鉛濃度および全銅濃度は浮遊物質濃度と高い相関がある(図1、図2)。このことから、浮遊物質濃度を低減化する手段により、全亜鉛濃度および全銅濃度もまた低減化できる。 2. 曝気・沈殿一体型MAPリアクター(畜産草地研究成果情報No3, 59-60, 2004)は重力沈殿機能も併せ有するため浮遊物質濃度を低減化でき、同時に全亜鉛濃度および全銅濃度もまた低減化できる(表1)。また、高分子凝集剤を用いた凝集沈殿処理により、同様に低減化できる(表2)。 3. 水質汚濁防止法では処理水を経営外に放流する場合に浮遊物質濃度を日平均で150mg/L、最大で200mg/L以下にまで低減化することが必要であるが、当該基準を満たしていれば同時に全亜鉛濃度および全銅濃度も水質汚濁防止法の基準値(全亜鉛濃度は5mg/L以下、全銅濃度は3mg/L以下)をクリアできるものと思われる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 重力沈殿処理や凝集沈殿処理に限らず、膜処理など豚舎汚水中の浮遊物質濃度を低減化できる手段であれば、全亜鉛濃度および全銅濃度の低減化が可能である。 2. 肥料取締法では堆肥中の亜鉛および銅濃度につき900および300mg/kg-現物を超える場合は濃度表示が必要となる。また、全国農業協同組合中央会では堆肥等中の亜鉛および銅の推奨濃度は1,800および600mg/kg-乾物以下としている。沈殿処理などで分離された浮遊物質は亜鉛および銅を含むため、分離浮遊物質を脱水し堆肥化して利用する場合には、亜鉛濃度および銅濃度に注意を払う必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 経営管理 豚 |