タイトル |
地球温暖化がわが国の育成雌牛の乾物摂取量と増体量に及ぼす影響予測 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 |
2002~2005 |
研究担当者 |
野中最子
樋口浩二
田鎖直澄
田島 清
永西 修
栗原光規
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発行年度 |
2006 |
要約 |
気候変動予測値から、わが国における育成雌牛の生産性への影響を推定すると、北海道では現在と変わらない乾物摂取量および増体量を期待できるが、九州の熊本県では相対湿度の上昇とともに乾物摂取量および増体量の低下が予測される。
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キーワード |
環境温度、相対湿度、育成雌牛、乾物摂取量、増体量、家畜生理・栄養
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背景・ねらい |
地球温暖化が畜産に及ぼす影響の一つとして、夏期の生産性低下が懸念される。特に、冷涼な気候を適温域とするホルスタイン種牛では、大きな影響を受けると考えられる。今後進行するであろう温暖化が家畜生産性に影響する程度を推定することは、今後の暑熱対策を長期的視点から講じる上などで非常に有意義であると考えられる。そこで、月平均気温の変動予測を基に、育成雌牛生産に及ぼす将来の地球温暖化の影響を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 気候変動予測による育成雌牛の乾物摂取量、増体量への影響評価に用いる前提条件として、
(1) 乾物摂取量または増体量の推定には、ホルスタイン種育成雌牛4頭(平均体重430kg)を用い環境温度20,28および33℃の負荷実験を行った結果と、体感温度(乾球温度×0.35+湿球温度×0.65; Biancaら1962)の式を組み合わせた以下の回帰式を利用する。 乾物摂取量(kg/日)=19.9-0.499×体感温度(℃);R2=0.904、体感温度22.3℃以上に適用 増体量(kg/日)=3.84-0.121×体感温度(℃):R2=0.409、体感温度24.3℃以上に適用 (2) 現在の気温および相対湿度(RH)は、気象庁の過去30年間(1971~2000年)値を平均する。将来の気温は「気候変化メッシュデータ」(Yokozawaら,2003)から予測する。将来のRHは「現在と変わらない」「現在より10ポイント上昇する」「現在より10ポイント低下する」の3つに分けて予測する。 (3) 本成果では、ホルスタイン種牛の飼養頭数が多く、かつ、RHを測定している気象台がある場所として、北海道(帯広、広尾、紋別)および熊本県(熊本、阿蘇)の2地域を例示している。 - 北海道および熊本県における現在の気温およびRH、そして予測される気温を8月について表1に示す。両地域において2060年代には現在より約3℃の上昇が予測される。
熊本県においては、RHが現在と同じ場合でも2060年代には乾物摂取量で9%低下、増体量で20%低下し、RHが10ポイント上昇した場合の影響はさらに大きく、2060年代には乾物摂取量で12%低下、増体量で27%低下する(図1-a, 図2-a)。しかし、北海道においては、RHが10ポイント上昇する2060年代においても乾物摂取量および増体量は低下しない(図1-b, 図2-b)。
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成果の活用面・留意点 |
- 日本各地の気象データ、気候変化メッシュデータを用いることで、各地域での影響を予測することができる。
- 温暖化にともなう将来の湿度予測については未だ公表されていないため今後の動向に注意を払う必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
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