ダンチクにおける再分化に優れる遺伝子型の選抜

タイトル ダンチクにおける再分化に優れる遺伝子型の選抜
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 高橋亘
蝦名真澄
高溝正
小林真
発行年度 2008
要約 食糧・飼料と競合しないバイオマス燃料作物候補であるダンチクの組織培養に適した遺伝子型を日本全国から収集した個体の中から選抜した。長崎県口之津で収集した遺伝子型の腋芽から誘導したカルスを用いて不定芽を多数発生させ、効率的に植物体を増殖できる培養系を確立した。不定芽からは再分化個体が容易に得られ、形態的変異は見られない。
キーワード ダンチク、カルス、再分化
背景・ねらい ダンチクはC3植物であるにもかかわらず、C4植物なみの光合成能力を有し乾物生産量が高いことからバイオマス資源作物として有望である。しかしながら、種子を形成しないので栽培には苗の大量供給が欠かせない。そこで、関東以南の各県から収集したダンチクから組織培養に適する遺伝子型を選抜し、培養細胞からの増殖法を確立する。
 
成果の内容・特徴
  1. ダンチクのカルス形成率は、2,4-Dを単独で3mg/l含むMS固形培地で高い。BAが培地に含まれるとカルス形成率は下がるが、2,4-Dを単独で含む培地よりも硬いカルスが形成される。千葉、静岡、愛媛、高知、長崎、宮崎、鹿児島の7県から収集したダンチク10遺伝子型の腋芽を、2,4-Dを単独で3mg/l含むMS固形培地に置床して誘導したカルスの中では、長崎県(口之津)および鹿児島(種子島A)で収集した遺伝子型の増殖が旺盛である。再分化率は千葉県波左間で収集した遺伝子型が37.5%と最も高く、種子島A、口之津、大崎および乙浜の遺伝子型が31.3%とこれに続き高い(表1)。組織培養適性の指標をカルス形成率、カルス新鮮重及びシュート形成率の積と考えると、種子島Aと口之津の2遺伝子型が優れる。
  2. 暗所で4mg/lの2,4-Dと0.25mg/lのBAを含むMS固形培地で誘導したカルス(図1a、遺伝子型:口之津)を、明所で1mg/lのNAAと0.3mg/lのBAを含む同培地に移すと不定芽を多数分化させながら増殖するオルガノジェニックカルスが形成される(図1b)。オルガノジェニックカルスは同培地で状態を維持しながら継代・増殖することができる。
  3. オルガノジェニックカルスは植物ホルモンを含まないMS固形培地に移すことにより速やかに茎葉が伸長、発根し(図1c)、馴化も容易である。セルトレイに鉢上げすることにより(図1d)、機械移植も可能となる。これまでに再分化した植物に、アルビノ等の外見上の異常は見られていない。
成果の活用面・留意点
  1. オルガノジェニックカルスを経た再分化系は、栽培に必要な大量苗増殖システムの基礎情報となる。
  2. 本研究で誘導されたカルスはパーティクルガン法等による組換え体作出に利用できる。
  3. より効率的な増殖を達成するにはジャーファーメンターによる培養が必要である。
図表1 227226-1.jpg
図表2 227226-2.gif
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