| タイトル |
強力な異性体分離能を持つキラルカルボン酸の開発性 |
| 担当機関 |
蚕糸・昆虫農業技術研究所 |
| 研究期間 |
2000~2001 |
| 研究担当者 |
市川明生
|
| 発行年度 |
2000 |
| 要約 |
天然有機化合物の立体構造の解析と、光学活性体農薬の合成に役立つキラルカルボン酸MαNP酸とMβNP酸を開発した。これらの試薬は、光学分割剤として既存の試薬を上回る性能を示した。
|
| 背景・ねらい |
農医薬の活性は、標的受容体が光学活性体であるL-アミノ酸により構成されているため、立体化学構造に大きく影響される。農薬として使用される多くの化合物はラセミ体(2個の鏡像体の混合物)として生産、使用されている。一方、単一の立体異性体だけを含有している光学活性体農薬は、使用量が従来のラセミ体農薬より少なく環境保全に役立つ。さらに製品がかさばらないために輸送段階の経費を削減することができるなどの利点を持つ。 本研究では、天然有機化合物の3次元の立体構造の解析と、光学分割に役立つ強力な異性体分離能を持つキラルカルボン酸を開発し、光学活性体農薬の合成を効率化することをねらいとする。
|
| 成果の内容・特徴 |
- 2-メトキシ-2-(1-ナフチル)プロピオン酸(MαNP酸)と2-メトキシ-2-(2-ナフチル)プロピオン酸(MβNP酸)は4級炭素原子の不斉中心を持つため、酸とアルカリに対して化学的に安定であり、高純度の光学活性体を作ることができる(図1)。
- Prelogの立体選択的合成方法と核磁気共鳴(NMR)スペクトルの解析によりキラルカルボン酸MαNP酸とMβNP酸の絶対立体配置がそれぞれ (S) - (+)であることを明らかにした(図1)。
- 今回開発した新規キラルカルボン酸は1級および2級アルコールについて強力な異性体分離能を持っている。これまで既存の光学分割剤では不可能だったシトロネロールの光学分割が可能になった(図2)。
- MαNP酸誘導体がMβNP酸誘導体より高速液体クロマトグラフ(HPLC)分析について優れた分離を示すことが多い(表1)。
- MαNP酸誘導体は順相系シリカゲルカラムで良好な分離を示す。順相系カラムは逆相系ODSカラムより大量に分離精製を行うことが可能なため、実用上都合が良い(表1)
|
| 成果の活用面・留意点 |
今回開発した新規光学分割剤は1級アルコール、第1アミンと容易に縮合可能である。2級アルコールとの縮合時には2種類の異性体間で反応のしやすさが異なる(速度論的光学分割)。反応性が低下している3級アルコールとは縮合しない。
|
| 図表1 |
 |
| 図表2 |
 |
| 図表3 |
 |
| カテゴリ |
病害虫
農薬
ばら
輸送
|