主要切り花花きに含まれる未同定糖質の同定とその生理的役割

タイトル 主要切り花花きに含まれる未同定糖質の同定とその生理的役割
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 1995~1995
研究担当者 市村一雄
須藤憲一
木幡勝則
発行年度 1995
要約 キクではL-イノシトールとシリトールが、バラではメチルβ-D-グルコシドとキシロースが、カーネーションではピニトールが、またスイートピーではボルネシトールが主要な構成糖の一つである。メチルβ-D-グルコシドとピニトールは、切り花において貯蔵糖質としての役割を果たしている。ス、カーネーション、ピニトール、スイートピー、ボルネシトール、貯蔵糖質
キーワード キク、L-イノシトール、シリトール、バラ、メチルβ-D-グルコシド、キシロース、カーネーション、ピニトール、スイートピー、ボルネシトール、貯蔵糖質
背景・ねらい  切り花においては、炭素源は限られており、糖質の添加は品質保持に効果を示すため、
糖質の役割を明らかにすることが重要となっている。切り花の糖代謝において、グルコー
ス、フルクトースおよびスクロースのみが論議の対象とされていたが、主要切り花花きで
あるキク、バラ、カーネーションおよびスイートピーにおいて、これらの代謝糖以外に多
量の未同定糖質が検出されたため、これらの未同定糖質の単離・同定・定量を行うととも
に、その生理的役割を明らかにする。
 沖縄県は冬春季における我が国でも有数のサヤインゲンの産地である。しかし、耐暑性
の高いサヤインゲン品種がなく、6月~10月の高温期には既存の品種は結莢できず、沖縄
県にはこの期間に収穫するサヤインゲン栽培はなかった。そこで、本研究では耐暑性サヤ
インゲン品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 鉛結合型陽イオン交換カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにより、グルコー
    ス、フルクトース、スクロースおよびミオイノシトール以外にキクでは2種類、バラでは
    2種類、カーネーションでは1種類、またスイートピーでは1種類の未同定糖質が検出さ
    れた。(図1)
  2. これらの未同定糖質を高速液体クロマトグラフィーを用いて単離し、NMRとマススペク
    トルにより構造解析を行い、キクの未同定糖質はL-イノシトール(ピークA)とシリトール
    (ピークB)、バラのそれはメチルβ-D-グルコシド(ピークC)とキシロース(ピークD)、カー
    ネーションのそれはピニトール(ピークE)、またスイートピーのそれはボルネシトール(ピ
    ークF)であると同定した。これらの新たに同定された糖質は、それぞれの花きにおいて主
    要な構成糖の一つである。(表1)
  3. バラ切り花におけるつぼみの開花は、茎が長いほど促進された(図2)。
    メチルβ-D-グルコシドは他の代謝糖と同様に減少しており(図3)、
    メチルβ-D-グルコシドの減少量と花径との間には高い相関がみられた。またメチルβ-D-
    グルコシド投与によりつぼみの開花は著しく促進された(データ略)。これらの結果より、
    メチルβ-D-グルコシドはバラ切り花において貯蔵糖質としての役割を果たしており、開花
    に寄与していることが明らかにされた。同様の実験により、ピニトールは他の代謝糖より
    代謝されにくいが、カーネーションの切り花において貯蔵糖質としての役割を果たしてい
    ることが判明した(データ略)。
成果の活用面・留意点
  1. 切り花の老化生理における糖代謝に関する基礎的研究に利用可能である。
  2. 切り花において貯蔵糖質が多いほど貯蔵性が優れていることが知られていることから、
    切り花の栄養状態の診断に関する研究に利用可能である。
図表1 227462-1.gif
図表2 227462-2.gif
図表3 227462-3.gif
図表4 227462-4.gif
カテゴリ カーネーション きく さやいんげん 耐暑性 ばら 品質保持 品種

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