タイトル |
ハクサイ晩抽性育種の新素材‘はくさい中間母本農6号’ |
担当機関 |
野菜・茶業試験場 |
研究期間 |
1985~2000 |
研究担当者 |
由比 進
高橋 尚
飛騨健一
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発行年度 |
1996 |
要約 |
‘はくさい中間母本農6号’は欧州の飼料カブなどを用いて育成された晩抽性品種である。わが国のハクサイ品種として最も抽台が遅く、春どりハクサイの実用品種の育種素材として利用できる。
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キーワード |
はくさい中間母本農6号、晩抽性品種、ハクサイ、春どり
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背景・ねらい |
春どりハクサイの栽培には晩抽性品種が使用されるが、気候の年次変動により不時抽台を生じており、晩抽性の安定した品種が望まれている。根こぶ病抵抗性育種の過程で抵抗性素材の飼料カブ‘77b’の抽台が極めて遅いことが判明したので、これを契機としてハクサイの晩抽性育種を開始した。
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成果の内容・特徴 |
- 育成経過:1977年に飼料カブ‘77b’を利用したハクサイの根こぶ病抵抗性・晩抽性育種を始め、一旦中断の後晩抽性と実用形質の向上を重点として系統の育成を再開した。1988年に本課題について(株)渡辺採種場と交流共同研究を開始し、同社の晩抽性ハクサイ系統‘TS’を育成系統に交雑した。この後代が育種素材としての有用性を認められ、1996年に‘はくさい中間母本農6号’として登録された(図1)。
- 晩抽性抽台は市販のハクサイ品種の中で最も晩抽性の部類に属する‘はるさかり’よりも遅い(表1)。一般の秋ハクサイ‘松島新2号’との交雑後代について、秋作で種子低温処理して抽台性を比較すると、晩抽性は部分劣性として発現した(図2)。
- 一般形質基本的に春まきの早生品種のタイプで、実用形質はハクサイの一般の固定種に近い水準にあるが、F1品種よりは劣る。球形は‘はるさかり’(F1)よりやや細く小型で、これより結球がやや遅く、結球部の締りがやや緩く、結球重はやや軽い(表1)。根こぶ病抵抗性はない。
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成果の活用面・留意点 |
- ハクサイの晩抽性育種の素材として実用品種の育成に利用できる。本系統からF1親とする自殖系統を容易に育成できるが、他の系統と交雑して後代より新たな晩抽性系統を育成してもよい。本系統の晩抽性は部分劣性であるため、F1品種で晩抽特性を十分に発揮するためには両親をともに晩抽性とする必要がある。
- 種苗法の許諾契約及び遺伝資源の配布規定に従って、公立及び民間の育種機関に種子を配布する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
遺伝資源
かぶ
抵抗性
はくさい
品種
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