新しい抽台特性を有する晩抽性の中間母本候補‘ツケナ安濃3号’

タイトル 新しい抽台特性を有する晩抽性の中間母本候補‘ツケナ安濃3号’
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 1996~2000
研究担当者 釘貫靖久
飛騨健一
由比進(日本たばこ産業(株))
発行年度 1996
要約  ‘ツケナ安濃3号’は強力な晩抽性を要求される晩秋まき栽培において、ツケナ・ハクサイ類の中で最も安定した晩抽性を示す。本系統は従来の一般の晩抽性品種より低温感応性が弱く長日感応性が強い抽台特性を有し、その晩抽性は不完全優性で量的遺伝を示し、晩抽性の育種素材として利用できる。
キーワード ツケナ安濃3号晩秋まき、ツケナ、ハクサイ、低温感応性、長日感応性、育種素材野菜・茶業試験場 野菜育種部 アブラナ科育種研究室
背景・ねらい  ツケナ・ハクサイ類などの春どり栽培に使用されている晩抽性品種は低温に感応して花芽分化するが、低温量の年次変動によりしばしば不時抽台による致命的な被害を生じる。そこで‘大阪白菜晩生’の集団中に見出された、一般のツケナ・ハクサイ類より低温感応性が弱く日長感応性の強い抽台特性を利用した晩抽性品種の育成を1987年に開始した。
成果の内容・特徴
  1. 本系統は16時間日長の長日条件下で3ヶ月以上経過すれば低温処理なしでも100%花芽分化するが、12時間日長では54日間低温処理しても花芽分化率が低い(表1)。すなわち一般のツケナ・ハクサイ類より長日感応性が高く低温感応性が低い。
  2. 生育初期より低温短日条件下で長期間生育する晩秋~初春まき栽培において、従来の晩抽性品種より安定した晩抽性を示す(表2)。長日のみの刺激で花芽分化するには3ヶ月以上の長日期間を要するので、高緯度地方の夏栽培で不時抽台することはない。
  3. 本系統と一般のハクサイとの交雑F1、F2世代の抽台性は、初冬まきにおいて、両世代の抽台日が両親のほぼ中間に位置し、F2の分離幅が比較的狭く両親と同程度の抽台性を示す個体が少ないことから、初冬まきにおける‘ツケナ安濃3号’の晩抽性は不完全優性で、量的な多数の遺伝子が関与していると推定される(図1、図2)。
  4. 実用形質は‘大阪白菜晩生’とほぼ同様である。
成果の活用面・留意点
  1. ツケナ・ハクサイ類の晩抽性育種素材として利用できる。特に低温遭遇量の多い晩秋まき・春どり用品種の育成に利用できる。
  2. 晩秋まきでは収穫期(3月以前)の不時抽台はほとんどないが、4月には抽台するので梅雨期以前に採種できる。
  3. 晩抽性は不完全優性として発現するので、F1育種においてF1の晩抽性を十分に発揮させるには、両親をともに晩抽性にする必要がある。
  4. 種苗登録後(申請予定)、許諾契約及び遺伝資源の配布規定に従って、公立及び民間の育種機関に種子を配布する。
図表1 227494-1.gif
図表2 227494-2.gif
図表3 227494-3.gif
図表4 227494-4.gif
カテゴリ あぶらな 育種 遺伝資源 はくさい 品種

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