タイトル |
高品質・高貯蔵性の春播きタマネギ新品種‘月交18号’ |
担当機関 |
北海道農業試験場 |
研究期間 |
1996~2003 |
研究担当者 |
伊藤喜三男
浦上敦子
永井 信
吉川宏昭
佐藤 裕
室崇人
田中征勝
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発行年度 |
1996 |
要約 |
‘月交18号’は、従来の春播きF1品種よりも辛味が弱く、球硬度が低く、かつ従来の春播き品種と同等の高貯蔵性を有するF1品種である。
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キーワード |
辛味、球硬度、貯蔵性北海道農試 作物開発部 上席研究官・野菜花き研究室
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背景・ねらい |
北海道の春播きタマネギの品質は都府県の秋播き品種と比較すると、硬質で辛味が強い。これらは必ずしも不利な特徴ではないが、近年のF1品種ではその傾向が強く、用途によっては食味の低下が指摘されている。そこで本研究では、秋播き品種に近い品質を備え、かつ従来の春播き品種と同等の高い貯蔵性を有するF1品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- ‘月交18号’は、北海道の春播き栽培に適応し、従来の春播きF1品種よりも辛味が弱くて軟らかい球品質を備え、かつ従来の春播き品種なみの高貯蔵性を有するF1品種である。同品種の花粉親‘CS3-12’は、新潟県園芸試験場育成の秋播き品種‘長生’の自殖後代より選抜育成したもので、りん葉が厚く、辛味が弱く、適度な球硬度と高い貯蔵性を持ち、春播き品種なみの早晩性を示す。種子親は米国USDAから導入した‘2935A’である。
- 球形は‘ツキヒカリ’よりも偏平である。球の硬さは‘ツキヒカリ’よりも15%程度軟らかい(表1、図1)。りん葉は‘ツキヒカリ’よりも15~25%厚い。辛味の強さの指標となるピルビン酸生成量(EFPA)は‘ツキヒカリ’よりも15%程度低い。食味は‘ツキヒカリ’より辛味が少なく、甘味が強く、軟らかい(図2)。
- 貯蔵中の腐敗は‘ツキヒカリ’と同等に少ない。貯蔵中の萌芽が遅く、茎盤突出が少ないので、貯蔵末期(4月)における健全率は‘ツキヒカリ’と同等に高い(表1、図1)。
- 肥大・倒伏・枯葉期は‘ツキヒカリ’とほぼ同等である(表1)。球肥大が良好で平均球重は‘ツキヒカリ’を10~20%上回る(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 用途:秋期から春期にわたる長期間出荷のサラダ用及び半調理(加熱時間の短い調理)用
- 適応作型:春播き露地移植栽培
- 適応地域:北海道のタマネギ栽培地帯
- その他 :変形球及び裂皮球が発生しやすいので、根切り処理による枯葉の促進が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
出荷調整
新品種
たまねぎ
品種
良食味
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