キクの主要赤色花色素、シアニジン−3−ジマロニルグルコサイドの同定

タイトル キクの主要赤色花色素、シアニジン−3−ジマロニルグルコサイドの同定
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 1996~2000
研究担当者 腰岡政二
山口雅篤(南九州大学)
中山真義
発行年度 1996
要約  キクのアントシアニン系主要赤色花色素の構造をcyanidin 3-O-(3",6"-O-dimalonyl-β-glucopyranoside)と同定した。
キーワード キク、アントシアニン、赤色花色素、cyanidin 3-O-(3",6"-O-dimalonyl-β-glucopyranoside)野菜・茶業試験場 花き部 開花制御研究室
背景・ねらい  花きにおいて、色は新規性をもたせ需要拡大につながる重要な要素であり、新規花色の発見、発現機構の解析は、新たな花色品種の創成に寄与できるものと考える。そこでキクの主要赤色系色素の一つであるとされている未知アントシアニン系化合物の単離と同定を試みた。
成果の内容・特徴
  1. キクのアントシアニン系主要赤色花色素はシアニジン-3-ジマロニルグルコサイド(cyanidin 3-O-(3",6"-O-dimalonyl-β-glucopyranoside)(Cy 3-3",6"-DMG、(図1)及びシアニジン-3-モノマロニルグルコサイド(cyanidin 3-O-(3"-O-mono-malonyl-β-glucopyranoside)(Cy 3-6"-MMG)であること、従来キクのアントシアニン系主要花色素とされてきたクリサンセミンは、抽出過程においてこれらのマロニル化色素から生じた分解物であることを明らかにした。
  2. 花色素は、'サンセット'、'アサヒ'等、赤色系キク21品種のつぼみ、あるいは花弁から5%ぎ酸で抽出した。抽出液を XAD-7カラムに通した後、5%ぎ酸・エタノールで溶出し、溶出液を異なる展開溶媒を用いて2回のペーパークロマトグラフィーを行った後、色素分画をLH-20で精製した。次いでODS-HPLCに供与し、Rt 13'48"及び Rt 16'30"から主要色素を分取し、アモルファス状のトリフルオロ酢酸塩結晶として得た。
  3. Rt 13'48"に溶出する花色素は標品との比較からCy 3-6"-MMGと同定した。Rt 16'30"に溶出する未知花色素は 1H NMR(核磁気共鳴)からシアニジン、グルコース、及び二つのマロニル基の存在を示した(図2、表1)。NMR シグナルの解析から、未知花色素はピラノース型の β-グルコース結合を有し、1"位のプロトン照射からシアニジンの4位のプロトンに NOEが認められること、グルコースの3"位と6"位のシグナルに低磁場シフトが認められることからこの未知花色素の化学構造を Cy 3-3",6"-DMG と同定し、質量分析によっても確証した。
成果の活用面・留意点
  1. Cy 3-6"-MMG と Cy 3-3",6"-DMGの量比と花色との関係を明らかにすることにより、多様な花色に関わるキク品種の創成に寄与することができる。 
  2. 花色の発現機構を、これらの色素の合成酵素の制御の点から解明することにより、キクにおける赤色発現が制御できる。
図表1 227508-1.gif
図表2 227508-2.gif
図表3 227508-3.gif
カテゴリ きく くり 需要拡大 品種

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