タイトル |
ダイコンにおけるジベレリン類の同定と新物質の発見 |
担当機関 |
野菜・茶業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
David J. Owen
Lewis N. Mander (オーストラリア国立大)
腰岡政二
山根久和 (東大
生物生産工学研究センター)
西島隆明
中山真義
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発行年度 |
1997 |
要約 |
ダイコンより新たに12種のジベレリン類を同定した。その中で4種の12位水酸化ジベレリン類は新物質であり、それぞれGA↓113、GA↓114、GA↓115、GA↓116 と命名した。
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キーワード |
ダイコン、ジベレリン類、GA↓113、GA↓114、GA↓115、GA↓116野菜・茶業試験場 花き部 開花制御研究室
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背景・ねらい |
ダイコンの花成・抽台にジベレリン(GA)の生合成機能が関与することを明らかにしてきた。その過程で、多くの内生ジベレリンの同定とそれらの生合成経路の解明を行ったが、同時に数種の未知ジベレリンの存在も見出した。本研究では、合成したジベレリンを指標として、これら未知ジベレリンの構造決定を行なった。
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成果の内容・特徴 |
合成したジベレリンを標準物質として、ダイコンの種子および茎葉部からGC-MSによりGA↓5、GA↓20エチルエステル(Et)、GA↓40、GA↓95-isolactone、3-epi-GA↓34、12α-hydroxy GA↓12、12β-hydroxy GA↓12、12α-hydroxy GA↓15、12β-hydroxy GA↓15、12α-hydroxy GA↓24、12β-hydroxy GA↓24 を同定するとともに、3-oxo-GA↓20の存在の可能性を明らかにした(図1)。
- 12α-hydroxy GA↓15、12β-hydroxy GA↓15、12α-hydroxy GA↓24、12β-hydroxy GA↓24は新規ジベレリンであり、それぞれGA↓113、GA↓114、GA↓115、GA↓116と命名した。
- 従来、2α位に水酸基を有するジベレリンは微生物に由来するジベレリンであると考えられてきたが、GA↓40 (2α-hydroxy GA↓9)の同定より、高等植物においても存在する可能性が示された。
- 遊離酸画分に、中性のGA↓20-Etを同定したが、この化合物は植物中にopen-lactoneとして存在している可能性が考えられた。
- ジベレリンの3β位の水酸基は精製過程で3α位に反転(epimer化)することが指摘されてはいるが、3-epi-GA↓34は、ダイコン中に存在する3-epi-GA↓1と3-epi-GA↓4と同様、内生的に存在する新規なジベレリンであると推察された。
- GA↓95は精製過程で容易にisolactoneに変化することから、GA↓95-isolactoneの存在はダイコンに内生的にGA↓95が存在する事を示唆していると考えられた。
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成果の活用面・留意点 |
- ダイコンの花成・抽台の制御に関与するとされる内生ジベレリンの理解が進んだことで、抽台機構の解明のための基礎資料となる。
- 一連の12位水酸化ジベレリンの同定から、植物における初期12位水酸化経路の存在が推定され、新しい生合成研究につながる。
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図表1 |
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カテゴリ |
だいこん
茶
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