簡易ながん転移(浸潤)抑制物質検定系の開発と茶成分への応用

タイトル 簡易ながん転移(浸潤)抑制物質検定系の開発と茶成分への応用
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 1994~1997
研究担当者 山口 優一
山本 万里
辻 顕光
発行年度 1997
要約  ヒト培養細胞株を用いて、簡易に茶葉中のがん転移(浸潤)抑制物質を検定できる一次スクリーニング法を開発した。
キーワード ヒト培養細胞株、がん転移(浸潤)抑制物質、一次スクリーニング法野菜・茶業試験場 茶利用加工部 製品開発研究室
背景・ねらい  近年、消費者の健康志向の高まりから食品の機能性に関する研究への要望が強まり、様々な機能性が知られている茶についても新たな機能性探索が求められてきた。そこで、新たな研究分野の1つであるがん転移阻害作用の一過程であるがん浸潤阻害作用について、ヒト血管内皮細胞株及びヒトがん培養細胞株を用いて、簡易で効率的なin vitro阻害因子スクリーニング系を開発する。
成果の内容・特徴
  1. (図1)のように、ゼラチンをあらかじめコートしたインナープレート膜上にヒト血管内皮細胞株HUV-EC-Cを単層培養し、リポポリサッカライドで、この細胞を刺激したのち、PKH-2蛍光試薬で標識したヒトがん培養細胞株及び検定液を添加して数時間培養し、インナープレート下層に浸潤したがん細胞数を界面活性剤で溶解して、その蛍光強度を測定する方法で検定する。
  2. 主要なヒトがん培養細胞株5種(高転移性繊維腫HT-1080、高転移性膀胱がんT-24、胃がんMKN45、乳がんMCF-7、肺腺がんA549)を上記系に組み込み、浸潤能を調べた結果、HT-1080のみが経時的に浸潤するため(図2)、5時間程度培養することで浸潤阻害効果を検定しうる。
  3. HT-1080は、経時的に血管内皮細胞層へ接着するため、接着阻害因子検定にも使用しうる(図3)。
  4. マウスin vivo 実験で、がん転移阻害効果の認められた茶カテキン類を供試して、本検定系で検定したところ、エステル型カテキン (ECg、EGCg)強い阻害作用が認められ、in vivo 実験の結果をよく反映しているので簡易検定系として有効である(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 本方法は、ヒトがん培養細胞株を利用した茶葉中のがん浸潤阻害因子の簡易な一次スクリーニング系として、茶の機能性研究への利用が中心となる。
  2. 本方法は、in vitro実験のため、検索された因子の効果について応用する場合には、動物実験等が必要となる。
図表1 227554-1.gif
図表2 227554-2.gif
図表3 227554-3.gif
図表4 227554-4.gif
カテゴリ 加工 機能性

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