茶葉中のフラボノイドによるマウスヘルパーT細胞のサイトカイン産生抑制効果(研究)

タイトル 茶葉中のフラボノイドによるマウスヘルパーT細胞のサイトカイン産生抑制効果(研究)
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 山本(前田)万里
川原浩治(生研機構)
長田和浩
発行年度 1998
要約 茶葉中に含まれるケルセチンとケンフェロールはアレルギーに関与するマウス2型ヘルパーT細胞のサイトカイン産生を抑制する。
キーワード 茶葉、ケルセチン、ケンフェロール、アレルギー、2型ヘルパーT細胞、サイトカイン野菜・茶業試験場 茶利用加工部 製品開発研究室
背景・ねらい  近年、茶葉中の成分が生体の様々な生理機能を調節することが明らかとなってきた。
一方、アレルギーは、様々な生活環境の変化に伴って近年増加傾向にある疾病である。
アレルギー患者の生体内では、2つの亜集団にわかれるヘルパーT細胞の細胞数のバランスが変化し、
細胞が分泌するインターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-5(IL-5)などのサイトカインが
過剰に分泌された状態になっている。そこで、アレルギーに関与するマウスの2型ヘルパーT細胞
(Th2細胞)のサイトカイン産生を抑制する物質の検索を、茶に含まれるフラボノイド類
(血管強化作用や抗炎症作用が報告されているケルセチン、ケンフェロール等)の中から試み、
それらの成分が細胞に与える効果について検討を行う。
成果の内容・特徴
  1. 茶葉中に含まれるフラボノール(図1)のTh2細胞のサイトカイン(IL-4及びIL-5)産生に対する抑制効果を調べた結果、ケンフェロール、ケルセチンに抑制効果が認められた(図2)。ケルセチンはIL-4の産生を抑制し、ケンフェロールは IL-4及びIL-5の産生を抑制する。
  2. ケンフェロールの持つTh2細胞のIL-4、IL-5産生抑制効果は可逆的なものであり、ケルセチンのIL-4産生抑制効果は不可逆的なものであった(図3)。ケンフェロール処理したTh2細胞を洗浄しケンフェロールを除去するとIL-4,
    IL-5の産生抑制が解除される。一方、いったんケルセチン処理した細胞を洗浄しケルセチンを除去した細胞ではIL-4産生抑制を維持したままであった。これらの成分を食品として摂取した場合、ケンフェロールは長期間摂取することにより効果を発揮し、ケルセチンは短期間の摂取でも効果を発揮することが推測される。
  3. ケンフェロール、ケルセチンは、Th2細胞のサイトカイン産生を抑制するだけでなくTh2細胞の増殖も抑制する(図4)。このことから、ケンフェロールとケルセチンはTh2細胞のサイトカイン産生抑制とTh2細胞の細胞増殖抑制の二つの作用面での抗アレルギー効果が期待される。
成果の活用面・留意点
  1. アレルギーを低減する機能性食品として茶葉自体の使用や、茶葉から抽出したケルセチン、ケンフェロールを含有するアレルギー低減化加工食品の開発に応用できる。
図表1 227613-1.jpg
図表2 227613-2.jpg
図表3 227613-3.jpg
図表4 227613-4.jpg
カテゴリ 加工 機能性食品

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