タイトル |
トレニア形質転換体の花色にコピグメンテーションが及ぼす影響 |
担当機関 |
野菜・茶業試験場 |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
間竜太郎
岸本早苗
吉田久美(椙山女学園大学
近藤忠雄(名古屋大学)
現 名古屋 大学)
柴田道夫
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発行年度 |
2000 |
要約 |
〔要約〕トレニア形質転換体の花色が、CHS遺伝子導入個体では赤味を、DFR遺伝子導入個体では青味を帯びる現象の原因がコピグメンテーション効果によることをアントシアニン及びフラボンの再混合実験を行い確認した。
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キーワード |
トレニア、花色、CHS遺伝子、DFR遺伝子、コピグメンテーション、アントシアニン、フラボン野菜・茶業試験場 花き部 育種法研究室
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背景・ねらい |
当研究室で作出したトレニア形質転換体の花色の変化について解析した結果、アントシアニン生合成系において上流に位置するカルコン合成酵素(CHS)遺伝子を導入した場合には花色が赤みを帯びるのに対し、下流に位置するジヒドロフラボノール還元酵素(DFR)遺伝子を導入した個体では花色が青みを帯びている。そこで、この現象の原因を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 形質転換実験の材料系統(紫花)には、アントシアニンとしてdelphinidin
3,5-diglucoside、cyanidin 3,5-diglucoside、petunidin 3,5-diglucoside、peonidin 3,5-diglucoside及びmalvidin 3,5-diglucoside(図1、アントシアニン1-5)が、また、フラボンとしてluteolin 7-glucoside、luteolin 7-glucuronide及びapigenin 7-glucuronide(図1、フラボン1-3)が含まれている。アントシアニン量は、野生型を100とした場合、CHS遺伝子導入個体では15、DFR遺伝子導入個体では14であり同程度減少している。一方、フラボンはCHS遺伝子導入個体では34と減少しているのに対し、DFR遺伝子導入個体では151と逆に増加している。
- 再混合実験の結果、フラボン濃度が上昇するにつれて青みがかった色合いになり、可視光吸収スペクトルの極大値が540nmから570nmに変化する(図2)。これらの値は、赤みがかった個体及び青みがかった個体の生花弁及びさく汁の吸収極大値と一致している。このことから、この現象は、コピグメンテーションによることが明らかである。なお、コピグメンテーションとは、アントシアニンとフラボン等の物質(コピグメント)との相互作用によりアントシアニンの発色が安定化するとともに青みがかる現象のことである。
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成果の活用面・留意点 |
- トレニアの花色の改変に利用できる。
- 他の花きにおける遺伝子組換えによる花色の改変のためのモデルとなる。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
育種
茶
トレニア
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