DNAマーカーを用いたチャ品種識別技術

タイトル DNAマーカーを用いたチャ品種識別技術
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 Shiv Shankhar Kaundun
松元哲
水野直美
発行年度 2000
要約 〔要約〕チャの二次代謝に関与する6遺伝子座13個のDNAマーカーを比較することにより、チャ45品種の識別ができる。特に主要品種の‘やぶきた’は特徴的なマーカーを有するため容易に識別できる。
キーワード 二次代謝、13個のDNAマーカー、チャ45品種の識別、‘やぶきた’野菜・茶業試験場 茶栽培部 生理遺伝研究室
背景・ねらい 緑茶の主要品種である‘やぶきた’は品種茶園栽培面積の約84%を占めているが、摘採時期の集中や味、香りの単一化が問題となっており、脱‘やぶきた’に向けた取り組みが加速している。チャの多品種化に伴い、育種場面のみならず、栽培、加工・流通面でも品種の識別が必要である。しかしチャの葉型、葉の大小、葉色等は品種間差異が少なく、また栽培条件によって変わりやすいため、外部形態から品種を識別することは難しい。DNAマーカーは試料の栽培条件を問わず、微量なDNAでも品種識別が可能である。本研究のねらいはDNAマーカーの検索及びチャ品種の識別技術の開発である。
成果の内容・特徴
  1. 新鮮葉から抽出したDNAを用い、複数の二次代謝関連遺伝子を標的にしたPCR反応を行った。フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)のイントロン部分は、α型と欠失のあるβ型があり(図1左)、さらにα型は制限酵素DdeⅠ処理によりαとα型に分かれる。これらを用いてチャ品種を6遺伝子型に分類できる(図1右)。
  2. ‘やぶきた’はチャ45品種の中でαα型を示す唯一の品種であるため識別は極めて容易である。ββ型は‘あさつゆ’、‘うじみどり’の2品種のみであり、‘やぶきた’と‘あさつゆ’を交配親にもつ‘さえみどり’はαβ型である。
  3. ジヒドロフラボノール・レタクターゼ(DFR)のイントロン3部分は、Hind Ⅲ制限酵素認識部位の有無で2個(AとA)に分かれ、チャ品種を3遺伝子型(A,A,A)に分類できる(図2)。
  4. このほかPALエクソン1、2、DFRイントロン4及びカルコンシンターゼ(CHS)エクソン2部分の合計6遺伝子座13個のDNAマーカーを利用して(表1)、チャ45品種について識別が可能である(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 製造加工された茶をDNA試料として用いる場合は、PCRによる増幅反応が進みにくいDNAマーカーもあるため、注意する。
  2. 各DNAマーカーは一遺伝子座の対立遺伝子として遺伝することから、親子鑑定に使用できる。
図表1 227680-1.jpg
図表2 227680-2.jpg
図表3 227680-3.gif
図表4 227680-4.gif
カテゴリ 育種 加工 栽培条件 DNAマーカー 品種

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