煎茶抽出液中の香気成分の定量分析法

タイトル 煎茶抽出液中の香気成分の定量分析法
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 2000~2003
研究担当者 吉冨hspace{1zw}均
山口優一
澤井祐典
発行年度 2000
要約 〔要約〕市販のロータリーエバポレータを用いる減圧蒸留法とガスクロマトグラフによる分析を組み合わせて煎茶抽出液中の香気成分をppbレベルで簡易に定量分析する方法を開発した。本方法により高い再現性で煎茶抽出液中の香気成分の濃度を分析することが可能である。
キーワード 減圧蒸留法、煎茶、香気成分、定量分析野菜・茶業試験場 茶利用加工部 製茶システム研究室
背景・ねらい 煎茶の香気成分は含有量がきわめて低いために定量分析が難しく、過去の多くの分析例では茶葉の減圧蒸留あるいは連続蒸留により香気成分を捕集した後、それぞれの成分の含有量をガスクロマトグラフにおけるピーク面積の内部標準物質のピーク面積に対する相対値として表す半定量的な方法が用いられてきた。この場合、分析手法等が異なると香気成分定量値の数値が異なることになり、データ相互の比較が困難である。また、茶葉を試料とする分析法では各成分の回収率の検討が難しいため、香気成分含有量を絶対濃度として示すことが困難であった。このような点を改善するため、煎茶抽出液の減圧蒸留法による香気成分濃度の定量を試みる。
成果の内容・特徴
  1. 本分析法は、煎茶の荒茶または仕上げ茶の熱水抽出液から減圧蒸留法により香気成分を捕集し、ガスクロマトグラフにより定量分析を行う方法である(図1、図2、図3)。茶抽出液と同様の手順で既知濃度の香気成分溶液を分析して得られた相対ピーク面積からの換算により、茶抽出液溶液中の香気成分濃度をppb単位で求めることができる。
  2. 本方法は試料の加熱を伴わないため香気成分捕集中の成分変化が生じにくい。また、市販のロータリーエバポレータを用いるため従来のように低温トラップ等のガラス器具を組み合わせて装置を構築する必要が無く、蒸留操作も簡便である。
  3. 本方法による`やぶきた'一番茶(荒茶)抽出液中の主要香気成分の分析例および反復分析における標準偏差を表1に示す。
成果の活用面・留意点
  1. 香気成分含有量を絶対濃度として示すことにより分析結果相互の比較が可能となるとともに、各成分が実際にどの程度香りに貢献しているかを検討する上でも有用なデータとなる。
  2. 減圧蒸留中に茶抽出液が発泡して溜出液に混入することがあるため、減圧操作での注意が必要である。この点については、図2に示した形式の突沸性物質用のロータリーエバポレータ装置を用いることにより回避することができる。
  3. 使用する水や試薬等に由来する不純物は分析の妨げとなるため、注意が必要である。特にジエチルエーテルは精製してから利用することが望ましい。
  4. Furfuryl alcohol等一部の成分で標準偏差が大きい点については、さらに検討が必要である。
図表1 227685-1.gif
図表2 227685-2.gif
図表3 227685-3.gif
図表4 227685-4.gif
カテゴリ 加工

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