抗アレルギー評価系に有効なダニ特異的ヒトIgE抗体

タイトル 抗アレルギー評価系に有効なダニ特異的ヒトIgE抗体
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 山本(前田)万里
川原浩治(北九州高専)
川本恵子(生研機構)
発行年度 2000
要約 〔要約〕食品成分の抗アレルギー性評価に必要なアレルゲン特異的ヒトIgE抗体産生B細胞株を細胞融合法により樹立した。この細胞が産生するIgE抗体はダニ抗原特異的である。
キーワード ヒトIgE抗体産生B細胞株、細胞融合法、ダニ抗原特異的野菜・茶業試験場 茶利用加工部 製品開発研究室
背景・ねらい 茶を含む食品成分中の抗アレルギー性評価法の1つとして、ヒト免疫担当細胞株を用いた方法の確立を目指している。アレルギーはアレルゲン(抗原)とIgE抗体の結合が引き金となっておこる。そのため、抗アレルギー性評価法では、抗原特異的ヒトIgE抗体を用いる系が望ましいが、現時点ではそのような抗体は入手不可能である。そこで、抗原特異的なIgEの供給源となるヒトB細胞株を細胞融合法により樹立し、得られた細胞株の形質および産生IgE抗体の特異性について検討する。
成果の内容・特徴
  1. コナヒョウヒダニ抽出抗原で刺激した活性化ヒト末梢血リンパ球と、ヒト融合パートナー細胞株ICLU-B細胞とを融合して得られたクローンのうち、MDε1細胞株はCD19およびCD38陽性のB細胞で、IgE抗体を産生する(図1)。
  2. MDε1の産生するIgE抗体は、コナヒョウヒダニ抽出抗原と特異的に反応し、他の抗原(スギ花粉、アスペルギルス真菌、卵白)とは反応しない(図2)。
  3. MDε1の産生するIgE抗体について、抗原との特異的結合に重要と考えられている抗体の可変部位の解析を行った。その結果、MDε1由来IgE抗体の重鎖可変領域の塩基配列は、Vh1ファミリーに属し、ダニ抗原を認識する特異的配列と考えられている1-69配列と高い相同性(89%)を示す(図3)。
成果の活用面・留意点
    樹立したヒトB細胞株の産生するヒトIgE抗体はアレルゲン(ダニ)特異的であり、IgE/アレルゲン結合を介した食品中抗アレルギー因子の評価系やアレルギー研究に有効なツールとなりうる。しかしながら、細胞増殖が遅く、IgE抗体産生量が不安定なので、使用に際しては一定の細胞密度の維持に努め、最適培地の検討を行う必要がある。
図表1 227687-1.gif
図表2 227687-2.gif
図表3 227687-3.gif
カテゴリ 加工 評価法

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