流砂モデルを用いた農地の侵食量および土砂流出量の予測手法

タイトル 流砂モデルを用いた農地の侵食量および土砂流出量の予測手法
担当機関 農業工学研究所
研究期間 1996~1999
研究担当者 塩野隆弘
高木 東(現
水文水資源研究室)
発行年度 1996
要約 [要約〕従来、農地の土壌侵食量の予測には経験式が用いられてきた。しかし、これらには精度や適用範囲および応用性の面で制約があった。そこで、これらの欠点を克服するために、リル(雨裂)を中心とする流砂モデルを構築し、侵食量及び土砂流出量の予測手法を開発した。
成果の内容・特徴
  1. 予測に用いる流砂モデルは、リル内の流砂の連続式を基礎とし、リル及びインタリル侵食(リルとリルの間の領域の表面侵食)モデルや表面流出モデルなどをサブモデルとして構成されている(図1)。従って、USLEのような経験式に比べて以下の 3、4 及び 5ような優れた点がある。当モデルの妥当性を図2に示す。
  2. 土性の相違は、サブモデルのリル及びインタリル侵食モデル(流砂モデルの基礎式の右辺の第1項及び第2項に関する評価モデル)の各々の受食パラメータに反映される。
  3. 表面流出モデルとして雨水(Kinematic wave)モデルを採用することにより、農地からの土砂流出量の動態的な予測が可能である。
  4. 構築した流砂モデルは、経験式と異なり、長い斜面長の農地にも適用でき、また任意の流下地点での侵食量が予測できる。更に、堆砂モデルを付け加えて堆砂域や堆積量が予測できる。
  5. この手法は侵食や土砂流出に関するいろいろな解析に使用できる。解析の事例を図3に示す。この図から、リル下流部で勾配に急な変化があると、当域は更に侵食され易くなり、流砂量はその影響を大きく受け易いことが分かる。
  6. この流砂モデルは、ウネ間の侵食および土砂流出にも適用できる。この場合、ウネ間をリルに見立て、ウネ部をインタリル領域に見立てればよい。
成果の活用面・留意点 [成果の活用面・留意点〕
予測手法の適用に当たっては、リルあるいはウネの配列に関する情報が予め必要である。リル侵食が卓越した農地が予測手法の適用の対象であり、リル及びその周辺は裸地状態を想定する。しかし、この流砂モデルに植生などによる被覆効果を反映させるサブモデルあるいはパラメータを組み込むこともできる。
図表1 227743-1.gif
図表2 227743-2.gif
図表3 227743-3.gif
図表4 227743-4.gif
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