有限要素法による3次元的な流れ解析の頭首工周辺流への適用

タイトル 有限要素法による3次元的な流れ解析の頭首工周辺流への適用
担当機関 農業工学研究所
研究期間 1996~1999
研究担当者 常住直人
中 達雄
桐 博英
発行年度 1996
要約 頭首工周辺部に生じる3次元性を無視できない流れを解析するため、多層モデルを導入して擬似3次元的な流れの有限要素解析ができるプログラムを開発した。本手法による解析結果は、水理模型実験結果と比較して頭首エの取入れ口のような比較的狭い領域においても十分に満足のできる結果が得られることを示した。
背景・ねらい  自然環境をとりまく流れは、平面的な広がりに比べて水深が浅いことから、鉛直方向には静水圧分布を仮定する浅水長波近似を導入した2次元的な流れ解析が行われる。しかし、頭首工などの農業水利施設周辺の流れを解析する際、流れの途中で鉛直方向の断面形状が大きく変化する場合には従来の2次元的な流れ解析では実際の現象を正確にとらえることができなくなる。本研究では、このような3次元性の強い流れを解析するため、深水湖など比較的広い領域の解析に用いられる多層モデルを導入し、頭首工の取入れ口のような狭い領域の解析への有効性を検証した。
成果の内容・特徴
    多層モデルとして、マルチレベルモデルを採用し有限要素法による擬似3次元的な解析を行う数値解析プログラムを開発した。本研究で採用したマルチレベルモデルは、解析領域を固定された複数の層に分割し各層について浅水長波近似を行うため、厳密な意味での3次元解析ではなく、擬似3次元的な解析となる。解析例として、開水路で流入して出口がパイプラインとなっている頭首工の取入れ口(図-1)内部の流れを解析した。
  1. 平面流速分布について、表層の解析結果(図-2)と2割水深の水理模型実験結果(図―3)を比較した。解析の結果得られる各層の流速は、層厚さでの平均流速となるため、実験結果と完全に一致するものではないが、両者は良好な一致を示した。また、第6層での平面流速分布(図-4)ではパイプラインに流入していく様子が良く再現されている。
  2. 取入れ口内部の水位変化(図-5)について、水理模型実験と比較した結果、ピアー付近や開水路終端において2cm程度の違いが見られたものの、他の点ではすべて1cm以下であった。実際の水管理で使用される水位計の誤差は、使用機種にもよるが±1cm程度であると考えられることから、本解析の結果は、十分に満足のできるものであると判断できる。
  3. 断面流速分布(図-6)については、取入れ口始端から流入してきた流れが水路末端の璧にぶつかり下降流となっていく様子など定性的な現象をよく再現しているといえる。
成果の活用面・留意点  擬似3次元的な解析を行うことにより、厳密な意味での3次元解析を行うよりも遥かに少ない時間での解析が可能となることから、パソコンやワークステーションなどによる解析が可能であり、実際の頭首工などの水利施設周辺の流れ解析への適用が期待される。
図表1 227751-1.gif
図表2 227751-2.gif
図表3 227751-3.gif
図表4 227751-4.gif
図表5 227751-5.gif
図表6 227751-6.gif
カテゴリ 水管理

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