焼畑分布地域におけるダム集水域の土地荒廃モニタリング手法

タイトル 焼畑分布地域におけるダム集水域の土地荒廃モニタリング手法
担当機関 農業工学研究所
研究期間 1997~2000
研究担当者 塩野隆弘
小倉力
上村健一郎
発行年度 1997
要約 熱帯の焼畑分布地域におけるダム集水域の流域管理を目的に、焼畑地の分布密度を指標とした土地荒廃の状況を空間的、経時的にモニタリングする手法の開発を行ない、対象ダム集水域において土地保全対策を重点的に施すべき地域を抽出した。
背景・ねらい 熱帯・亜熱帯地域の開発途上国では、ダム開発に伴って開設される道路沿いに焼畑農業が急速に展開されたり、豊富な水資源を目当てに新たな農地開発が行われることが少なくない。過剰な焼畑によるダム集水域の土地荒廃は、流域の水保全機能の低下や、堆砂量の急増によるダム寿命の短縮をもたらす。本研究では、ダム集水域の適正な流域管理を目的に、リモートセンシングを用いた土地荒廃モニタリング手法の開発を行った。
成果の内容・特徴  1992~1996年に建設されたスマトラ島コトパンジャンダムの集水域を対象に、1985年、1989年、1992年、1994年の4時期のランドサットデータと数値標高モデルを重ね合わせて、以下の解析を行った。
  1. リモートセンシングデータから算出される正規化植生指標(NDVI)の経年変化により焼畑の可能性の高い地点の絞り込みを行った。さらに、抽出された地点の団地性を解析し、予め航空写真判読等から決定した焼畑の団地規模、形状指数(周長・面積比)の条件に適合する団地を絞り込み、焼畑地として抽出した。
  2. 数値標高モデルから求まる疑似河道網を用いてダム集水域を任意規模の支流域に自動分割するプログラムを開発し、流域管理区分図を作成した(図1)。本事例では、全集水域を、行政界を考慮した23の支流域に分割した。
  3. 支流域ごとの焼畑分布密度の経年変化(図2)をもとに1985~1994の9年間で急激に分布密度が高まった支流域(図1中のⅡ-A-2及びⅢ-B-1)を抽出し、保全上、注目する必要があることを示した。
 本手法の特徴は、従来のリモートセンシング解析のように土地利用変化を画素単位で表記するのではなく、自動分割した支流域ごとに指標化して評価する点にある。実際の土地保全計画策定は流域や行政界を土地単位として行われることから、本手法の出力結果は、直接、計画策定に援用することができる。
[成果の活用面・留意]
成果の活用面・留意点 [成果の活用面・留意]
土地保全対策が必要な支流域では、植林・緑化事業や焼畑規制などの対策が望ましいが、土壌保全性が良好な換金作物の導入や集落、生活環境整備など、焼畑農民の定住化に向けた総合的な地域開発が並行的に実施されなければ、土地保全対策の実効性は乏しいことに留意する必要がある。
図表1 227760-1.gif
図表2 227760-2.gif
カテゴリ 亜熱帯 モニタリング リモートセンシング

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