低コスト化・貯水容量増大を目的とした厚手ラビリンス堰の水源施設への適用効果と設計手法

タイトル 低コスト化・貯水容量増大を目的とした厚手ラビリンス堰の水源施設への適用効果と設計手法
担当機関 農業工学研究所
研究期間 1997~1998
研究担当者 加藤敬
常住直人
中西憲雄
発行年度 1997
要約  厚手ラビリンス堰による溜池、調整池、ダムの洪水吐小規模化、堤高低減、貯水容量増大効果を明らかにした。さらに厚手ラビリンス堰の水理設計手法を開発した。
背景・ねらい  
 現在、早急に改修が必要な老朽ため池は全国に約2万カ所あると言われている。ため池は規模が小さいが、総数が多いので全体としての改修コストは莫大になる。また、ため池など水源施設では、改修もしくは築堤コストのうち、洪水吐部分のコスト比が大きくなるので、低コスト化を図るには洪水吐コストの圧縮が重要になる。ここではこれらの改善を図るため、放流能力が大きいラビリンス堰について検討した。
 なお、ラビリンス堰は米・仏国を中心に海外で施工事例があるが、いずれも極めて薄厚の形状である。したがって、以下の検討は、我が国の鉄筋コンクリート構造基準に整合した厚手ラビリンス堰について行った。
成果の内容・特徴
  1. 鉄筋コンクリート製のラビリンス堰を想定し、その国内構造基準への整合と施工性・放流能力の向上を考慮して、図1の断面図に示すようなT/P=0.3、堰断面形状が1/4円弧型形状を求めた。
  2. 厚手ラビリンス堰の「放流能力」は、図2に示すように直線堰より大きくなることを明らかにした。
  3. 図2に示す厚手ラビリンス堰では放流能力が直線堰の1.4~2.5倍となるので、洪水吐の越流幅を40~70%に縮小でき、洪水吐の小規模化や洪水吐部分の掘削コスト、法面施工・維持管理コストの低減が図れる。また、洪水吐の越流水深は直線堰の55~80%になるため、堤高の低減または貯水容量の増大が図れる。
  4. 図2からH/Pをパラメ-タとする厚手ラビリンス堰の越流係数式を導いた。また、その流況区分を明らかにし、設計上、避けるべき「不安定流況」の範囲を示した。
  5. 図3に示すように、直線堰に対する厚手ラビリンス堰の「堰体の体積比」を明らかにした。図2、3から、ラビリンス堰化により厚手であっても、単位放流量当たりの堰体の部材量は約50~80%になり、コストが低減できる。
  6. 厚手ラビリンス堰の形状設計式・設計手順を示した。
本成果は、水源施設の改修・新設や水路余水吐など他工種の余水放流施設に活用できる。
成果の活用面・留意点 本成果は、水源施設の改修・新設や水路余水吐など他工種の余水放流施設に活用できる。
本成果を用いる際の留意点は次の2点である。
1) 直線堰をラビリンス堰化すると、放流能力が増大するため、流況の確認が望ましい。
2) ラビリンス堰化により洪水吐の小規模化は可能となるが、設計洪水量が非常に小さい場合は、浮遊物による閉塞対策などから最小幅や最小越流水深が決まる。
図表1 227771-1.gif
図表2 227771-2.gif
図表3 227771-3.gif
カテゴリ コスト 低コスト

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる