矩形断面水路における流し掛け水車の水理特性

タイトル 矩形断面水路における流し掛け水車の水理特性
担当機関 農業工学研究所
研究期間 1998~1999
研究担当者 奥山武彦
後藤眞宏
小綿寿志
発行年度 1998
要約 水路内の流水エネルギーを流し掛け水車で動力に変換利用するために水理実験を行い、水車上流水位は水車への負荷(錘)の増加に伴って直線的に増加する、低速回転・高トルクの動力源に適しているなどの水理特性を明らかにした。
背景・ねらい わが国の農業用水路の延長は、受益地100ha以上の農地に送水している水路で約28,000㎞である。水路の流水エネルギー(流水の運動エネルギー)を、水車式除塵機など多目的に利用する要望が多くなっている。そこで農業用水路の流水エネルギーを利用するために、水理実験を行い流水エネルギーを動力に変換する流し掛け水車を水路に設置したときの水車出力、水車上流への堰上げ等流し掛け水車の水理特性を明らかにし、流し掛け水車の設計に役立てる。
成果の内容・特徴 水理模型を作製し(図1)、流量、水車羽根高さ、負荷となる錘(2kgfから2kgfずつ増加)を変化させて、水車出力、水路内流況等を計測した(図2)。流し掛け水車の水理特性として以下のような結果を得た。
  1. 水車による堰上げは負荷の増加に伴って直線的に増加し、最大堰上げ高さは羽根高さによって決まる(図3)。また水車出力(図4)も羽根高さによって決まる。
  2. 負荷を増加させると水車の回転数は減少しトルクは増加するため低速回転、高トルクの動力源に適している。また、効率が最大になる回転数が存在し、流量が多くなると最大効率の生じる回転数は高くなる。
  3. 水車を水路断面形状に沿うように隙間の少ないように設置することで、水車自体の堰上げ効果により出力が増加して効率が増す。この実験では最大効率が45%に達し、これまでの下掛け水車の効率15~35%を大きく向上できた。
  4. 図4から羽根高さ8㎝の出力は約3Wになる。模型の4倍程度の幅1mと水車直径2mの水車出力は、相似率から約450Wになる。これが水車除塵機の稼働などに利用できる出力である
成果の活用面・留意点 農業用水路の流水エネルギーを流し掛け水車で取り出す場合に、水車の回転数は毎分数十回程度で、発電機の駆動は困難である。このため除塵機など種々の機器への動力としての直接利用が考えられる。
図表1 227786-1.gif
図表2 227786-2.gif
図表3 227786-3.gif
図表4 227786-4.gif
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