水路景観として美しさを与える水位の評価手法

タイトル 水路景観として美しさを与える水位の評価手法
担当機関 農業工学研究所
研究期間 1999~2000
研究担当者 小嶋義次
小林宏康
筒井義冨
発行年度 1999
要約 水位を5段階に変化させた水路写真をもとに、景観シミュレーションで作成した合成写真を視覚評価で順序付けさせるという水路景観評価手法を提案した。本手法をコンクリート水路に適用した場合、美しさを与える水位は満水位に対し約70%水位と算出された。
背景・ねらい 日本の農業用水は、自然や人と有機的に長く深く関っており、その結果、水路沿いに美しい景観が形成された。しかし、現在では、概して米の収穫後に水路は空となり、水路のパイプライン化が拡大しているため、徐々に美しい水路景観が失われている。本研究は、農業用水と水路の景観機能を評価し、景観として美しさを与える水位等を求めることを目的としている。
成果の内容・特徴
  1. 水路景観の水位評価手法
    水路景観の好みに及ぼす水位の影響を明らかにするため、次のような評価手法を提案した。
    (1)満水位(100%)に対し、75%、50%、25%、0%(空)の5段階で水位を変化させた水路写真と、その他の環境要素を撮った写真を景観シミュレーションで合成する。
    (2)(1)を被験者に呈示し、「美しさ」等の観点から順位付けをさせ、その理由を記入させる。
    (3)順位付けの結果から、環境要素の選好性、水路景観に美しさを与える水位等の解析を行う。
  2. コンクリート水路における適用結果
    本評価手法をコンクリート水路に適用し、10枚の合成写真(水位5段階と柵の有無)を「美しい景観」、「水遊びに好ましい景観」という2つの観点から69名の被験者に評価させた。その結果、美しさを感じる水位は、図1 が示す通り、被験者の年齢にかかわらず75%水位に集中し、水遊びに好ましさを感じる水位は、図2が示す通り、分散する傾向が認められる。ここで、被験者が各観点から1位とした写真を抽出し、被験者全員の好みを平均化すると、「美しい景観は約70%水位で柵有り(写真1)」、「水遊びに好ましい景観は約60%水位で柵無し(写真2)」となる。
    写真1は、図1の結果から、多くの人に満足感を与えることができる。しかし、写真2は、図2の結果から、高水位や低水位を好む人には満足感を与えることができない。
    以上の結果より、本評価手法は水路景観に美しさを与える水位の算定に有効である。
成果の活用面・留意点 農業用水と水路の多面的機能を景観要素の面から検討していくことができる。なお、本解析では、水路幅3m程度以下、水路高さ1.5m程度以下の水路規模を想定した。今後、水路の各種環境要素の変化が水位の好みに及ぼす影響等についても明らかにする必要がある。
図表1 227806-1.gif
図表2 227806-2.gif
図表3 227806-3.gif
図表4 227806-4.gif
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