膜分離活性汚泥法による大腸菌ファージの除去

タイトル 膜分離活性汚泥法による大腸菌ファージの除去
担当機関 農業工学研究所
研究期間 2000~2001
研究担当者 上田達己
端 憲二
発行年度 2000
要約 膜分離活性汚泥法においては、膜面に堆積するケーク層が大腸菌ファージの除去に主要な役割を果たしている。同法は、従来の活性汚泥法に比べ大腸菌ファージの除去率が2logすぐれている
背景・ねらい 集落排水処理水を灌漑用水・せせらぎ用水として有効再利用する際には、人が処理水に接触する可能性がある。このため衛生的な観点から処理水の安全性の確保が求められる。そのための手段として、膜分離による微生物の除去は、塩素消毒のように副生成物を発生しないメリットがある。そこで、膜分離活性汚泥法による大腸菌ファージ(ヒト腸管系ウイルスの指標微生物として用いられる、大腸菌に感染するウイルス)の除去機構を解明する。
成果の内容・特徴
  1. 実験に用いた曝気槽には、活性汚泥の分離のために平均孔径0.4μmの精密ろ過膜が組み込まれている(図1)。一方ろ過対象である、実生活排水より単離した野生株DNA大腸菌ファージの大きさは、約0.2μmと膜孔径の半分程度である。
  2. 膜面にケーク層のない状態でろ過すると、ファージはほとんど除去されないが(図2)、活性汚泥混合液をろ過すると、活性汚泥由来の物質が膜面にケーク層を生成し、ファージ除去率が飛躍的に向上する(図2)。
  3. 走査型電子顕微鏡による膜面観察(図3)によれば、ケーク層が膜の有効孔径を実質的に減少させることが、ファージ除去率向上に主要な役割を果たしていると判断される。
  4. 本実験の平均ファージ除去率は約4log(=99.99%)であり、これは従来の活性汚泥法と比べておおむね2logすぐれている(図4)。一方米国カリフォルニア州では、再利用水に係る暫定水質基準として、生活排水から大腸菌ファージを5log除去することとしている(図4)。これを本実験の結果に比較すると、本実験の処理水を再利用するにはさらに1 logの削減が必要である。これは、多くの場合環境水による希釈により達成可能である。
成果の活用面・留意点 処理水の再利用を計画している集落排水処理施設において、放流処理水に対して衛生的な安全性を確保するために、膜分離活性汚泥法を有効な対策として導入していくことが期待される。
図表1 227832-1.gif
図表2 227832-2.gif
図表3 227832-3.gif
図表4 227832-4.gif
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