13.時空間情報を利用した知識獲得型の渇水流量予測法

タイトル 13.時空間情報を利用した知識獲得型の渇水流量予測法
研究期間 2001~2002
研究担当者 久保田富次郎
松田 周
相澤顕之
増本隆夫
発行年度 2002
要約 開発された渇水流量予測法は、ファジィ化ニューロ法と簡易な区間流入量推定 法を組み合わせた知識獲得型の実用法である。上流のダム放流量や頭首工取水量などの時空間情報と過去の渇水経験から得られる知識情報を使って渇水予測ができる。
背景・ねらい  渇水時における利用可能な水資源量を把握し、それを最大限に利活用するためには、ダム放流量や取水量などの空間分布ならびに時間的推移の両面からの情報をもとに流出状況の適切な把握や将来予測が必要になる。しかし、流域の水利用構造は、多地点での取水や河川への大量還元など複雑になっているため、そのモデル化が困難な状況にある。

 ここでは、時空間情報を入力として、ある地点の河川流量を上流の基準点流量をベースに支川流入量と河川からの取水量を加除して区間流入量を推定した上で、目標地点流量をファジィ化ニューラルネットの知識情報を用いて推定する実用的方法を開発した。さらに、それを利根川流域の昭和47年~平成13年までの既往最大の11渇水に適用した。
成果の内容・特徴
  1. ファジィ化ニューロ法を利用して(図1),流出モデルを介さなくとも,上流のダム放流量や頭首工取水量などの時空間情報と過去の渇水経験から得られた知識情報を使って渇水予測が可能となった。しかもこの方法は、昭和62年以外の年の渇水データ(ダム放流量、取水量、地点流量、日降水量等)で学習を行っても、未経験の最大渇水規模の予測にも適用できることが明らかになった。

  2. 流域をグループに分割し(図2),1つの同グループ内の対象とする区間での区間流入量(横流入量:図3)を上下流の流量を差し引きして簡易に逐次算定し,上流域からの還元量や残流域区間からの流出量を推定でき,それをファジィ化ニューロ法の入力として利用することで流量の推定精度の向上が期待できる。またその算定量は観測誤差や推定誤差を含んだ量として大変重要な情報量であることも分かった。

  3. 一連の方法は,過去の渇水情報を利用して,しかも時空間情報をリアルタイムに入出力できることから,渇水流量の予測支援に使える実用的な方法であることが大きな特徴となっている(図4)。

成果の活用面・留意点  本方法による予測期間の7日間は、土地改良区等への通知は1週間程度必要と考えられていること、渇水管理は休日明けの月曜に再検討されること等からの目標期間である。また、予測結果は日々の最新情報で更新されていくことになる。
 さらに,最上流点での将来の推定流量などの入力に別の物理モデルによる長期予測量を使えば、1~7日先の渇水流量予測を1カ月程度先までのものとして実現できる可能性があることも分かっている。

カテゴリ 水管理

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