14.リモートセンシングによる高潮・潮風害時の農作物被災範囲の抽出法

タイトル 14.リモートセンシングによる高潮・潮風害時の農作物被災範囲の抽出法
研究期間 2001~2003
研究担当者 久保田富次郎
松田 周
増本隆夫
発行年度 2002
要約 台風時に発生した高潮による農作物の被災範囲は,衛星リモートセンシングの衛星画像を用い,塩害で枯死した作物の正規化植生指数(NDVI)の低下域を特定することより,広範囲を迅速に決定することができる。
背景・ねらい  我が国では海岸堤防の整備によって伊勢湾台風以来,高潮が海岸堤防を超えて被害をもたらすことはなかった。1999年に発生した台風9918号による高潮被害は実に40年ぶりのことであった。高潮災害はいったん発生すると広域に農業被害をもたらす可能性が高く被害は甚大である。このような災害時に,被害の及んだ範囲を省力的かつ迅速に把握することは対策を検討する上で極めて重要である。
 高潮害では,塩害による作物や植生の枯死が顕著である。このことを利用して,衛星リモートセンシングで得られた衛星画像を利用して,1999年9月24日に九州に上陸した台風9918号に伴い発生した高潮による農作物への被災範囲を推定する方法について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 水稲作付け後期に高潮害を受けた被災農地の把握には,衛星画像データを利用して,作物の枯死(図1)によるNDVIの低下を利用して分類を行う抽出法を開発した。本手法を用いて被災農地の広域分布を的確に把握できる(図2)。

  2. データの処理手順は,衛星画像(Landsat5 TM,1999年10月7日,path-row:113-37))を幾何補正の後,NDVIを算定し,市街地等の解析対象外をマスク処理し,それを解析対象地の一部で得られた水稲被害現況と合わせて分類を行う(図3(a))。

  3. 翌月以降に撮影された衛星画像(1999年11月7日(IRS-1D),1999年12月27日(同))を用 いた解析では本手順による被災地区の抽出は困難であった。これは秋から冬に向かう
    につれてNDVIが全体的に低下することと,被害・未被害地区を問わず水稲の刈取り(10月下旬~11月中旬)が進んだことに起因する。

  4. 被災2ヶ月後に植え付け予定であったイグサ(11月下旬~12月中旬植付け,6月下旬~ 7月中旬収穫)は,多くの地区で作付されなかった(図3(b),図4)。高潮害では,圃場に堆積した高塩分を含んだ泥土の処理など,後作への影響が大きく,必要に応じて後作への影響の把握も重要である。

成果の活用面・留意点  本手法は地域のバイオマス生産が盛んな時期に適用が可能である。被災後1週間~3週間以内に良好な衛星画像が得られる必要がある。

カテゴリ いぐさ 水稲 リモートセンシング

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