タイトル |
自然電位探査による浸透状況、地下水排除工の影響範囲の調査法 |
担当機関 |
(独)農業工学研究所 |
研究期間 |
2002~2004 |
研究担当者 |
奥山武彦
中里裕臣
黒田清一郎
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発行年度 |
2004 |
要約 |
測定が容易で面的な調査に適している自然電位探査を行い、地下浸透流に伴って発生する流動電位の分布を調べることで、涵養域と流出域とのゾーニングに応用が可能である。また、地下水排除工の施工前後の電位分布の比較により、その影響範囲を推定できる。
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キーワード |
自然電位探査、地下浸透流、流動電位、ゾーニング、地下水排除工
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背景・ねらい |
浸透流の集中は地すべり発生の要因のひとつとなっており、対策工として、地下水排除のための集水ボーリングが多く施工される。浸透流に伴う流動電位を自然電位探査によって検出することで、浸透流の涵養域と流出域、地下水排除工の影響範囲のゾーニングを行い、合理的な対策工の計画を行うことができる。
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成果の内容・特徴 |
- 自然電位の成因は酸化還元反応、拡散電位、熱電気現象などがあるが、地中浸透に伴う電荷の移動によって流動電位が発生することが知られている。負のゼータ電位をもつ一般的な岩石では流出域側が涵養域よりも相対的に電位が高くなる。砂カラムを用いた浸透実験では、ほぼ動水勾配に比例する電位が発生した(図1)。調査対象範囲における電位分布を調べることで、涵養域と流出域のゾーニングを行うことができる(図2)。
- 火砕流堆積物台地の地すべり発生個所で固定基準点に対する電位分布を調べた結果、斜面上部北西側が低電位で、斜面下部の崩壊発生部に向かって高電位になっていた。浸透水の流動方向は北西→南東方向であると考えられ、火砕流の流下堆積方向とも一致する。高電位部に推定される流出域を図3aに示す。
- 集水井と地下約5、10mの集水ボーリングによる地下水排除工が施工された後は、施工範囲とその周辺で見られる電位低下域が地下水排除工の影響範囲と考えられる(図3b、3c)。自然電位の低下は、浸透流が地下の集水ボーリングに向かうように変化したことを示している。なお、一帯で地下水位が低下したことが観測されている。
- 自然電位は直流電位なので、食塩-塩化鉛溶液などの液絡による非分極性電極を使用する(図4)。高入力インピーダンスの電位測定器を使用することで、溶液の浸出が少ない電極でも短時間で土壌面と平衡に達して測定が可能である。現地調査では、GPS測位を併用することで、電位測定位置をランダムに選定してもGISに適したデータを取得することができる。
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成果の活用面・留意点 |
自然電位の現地測定では、土壌の違いや直流鉄道などから発生する人工的電流の影響に留意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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カテゴリ |
GPS
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