谷津田による窒素浄化が可能な地域を推定するための細流域区分法

タイトル 谷津田による窒素浄化が可能な地域を推定するための細流域区分法
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2002~2006
研究担当者 松森堅治
石田憲治
飯嶋孝史
嶺田拓也
栗田英治
木村吉寿
発行年度 2004
要約 台地などの畑作地域では、窒素の面源負荷による環境汚染が懸念されている。谷津の集水域を単位とする細流域区分法は、地形土地利用の連鎖を活用して谷津田による窒素浄化の可能性のある地域を明らかにし、流域からの流出量軽減施策に利用できる。
キーワード
台地、窒素、面源負荷、谷津、集水域、細流域区分法、地形土地利用の連鎖、谷津田、窒素浄化
背景・ねらい 農地からの面源負荷が水質汚染の一因といわれ、窒素の流出を減らす環境保全型農業の取り組みが進められている。一方、水田では脱窒、吸収により窒素の浄化が可能である。そこで、地形や土地利用の連鎖系を考慮した環境保全的な流域の土地利用システムを構築するために、台地の流域において畑等からの施肥窒素の面源負荷量を試算し、谷津田の浄化機能を利用した窒素浄化が可能な地域を推定するための流域単位の区分法を開発した。
成果の内容・特徴
  1. 1/25,000の土地条件図、地形図、単位流域境界(国土数値情報の流域界)の既存情報をもとに谷津の流域を単位とする流域区分を行う方法を開発した(図1)。
  2. 土地条件図の地形分類をもとに利根川中下流域(3,494km2)において台地と低地の区分を行い(図2a)、台地斜面と低地の形態による違いで単位流域を細分する細流域区分図を作成した(図2b)。細流域内に谷底を含む場合を谷底型、谷底を含まない場合を斜面の形状により谷斜面型と直線斜面型に区分した。
  3. 土地利用別の排出窒素負荷原単位に関する知見と細密数値情報(10mメッシュ土地利用)から面源負荷量を推定し、年流出水量を500mmとして流出水の窒素濃度に換算した(図3a)。水田で浄化可能な用水の窒素濃度は2~3mgL-1以上と言われ、2.5mgL-1以上を負荷量が大とした。水田の窒素除去速度Y''''と窒素濃度XにはY''''=0.01Xの関係が知られており、同式から浄化に必要な細流域の水田面積率を求め10%以上を浄化能大とした(図3b)。
  4. 負荷量と浄化能の組み合わせから、台地細流域を4つの類型に分けた(図3c、表1)。谷底型細流域のうち58.3%の流域で窒素濃度が2.5mgL-1を超えて負荷が大きく、その半分の28.3%の流域は谷底の水田面積率が高いため、地形連鎖により流域内の谷津田等を利用して窒素浄化を行える可能性が高いと判断された(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 河川、湖沼の水質浄化に活用できる。地形・土地利用の連鎖を利用して細流域内の谷津田(休耕田)で高窒素濃度の湧水を浄化して流域外への負荷を軽減するなど、浄化対策が可能な地域の分布を明らかにした。
図表1 228041-1.gif
図表2 228041-2.gif
図表3 228041-3.gif
図表4 228041-4.gif
カテゴリ 水田 施肥

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる