農村社会資本整備に関する波及効果の評価手法

タイトル 農村社会資本整備に関する波及効果の評価手法
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 國光洋二
発行年度 2005
要約 共分散構造分析を適用して農村社会資本整備と地域経済に関する因果関係モデルを構築し、社会資本整備の直接効果・間接効果を評価する手法を開発した。これにより、マクロ経済的な視点から農業地域類型を考慮して整備効果を評価できる。
キーワード
共分散構造分析、農村社会資本整備、因果関係モデル、直接効果・間接効果
背景・ねらい 農村社会資本整備の効率的な実施のため、農村社会資本のマクロ経済的な視点からの評価が政策課題となっている。特に、農村社会資本は、整備により地域の経済活動が効率化、高度化するような直接的な効果(生産力効果)に併せ、民間投資を誘発する間接効果(クラウディング・イン効果)が期待され、事業評価においては、地域所得あるいは地域農業所得に対する直接・間接効果の発現状況を分析・評価することが重要である。
本研究では、直接観測できない変数を考慮して因果関係を分析する手法である共分散構造分析を用いて、社会資本整備と地域経済に関する因果関係モデルを推定し、農業地域類型ごとの農村社会資本整備の直接・間接効果を明らかにする手法を開発した。
成果の内容・特徴 1985~95年の3247市町村(2000年時点、東京23区を除く)データをもとに、共分散構造分析を適用して農業地域類型区分別に因果関係モデルを推定する(図1)。モデル推定結果から、社会資本整備の直接効果及び間接効果について、以下のような地域特性が定量的に評価できる。
  1. 都市的地域の社会資本整備は、直接地域経済を刺激する直接効果(0.0)よりは、民間投資の誘発を通じた間接効果(0.63~0.67)が大きい(表1)。
  2. 一方、平地農業地域や中・山間農業地域では、間接効果がプラス(0.35~0.66)であるものの都市的地域ほど大きくはない。しかし、これら地域の直接効果(0.13~0.21)は都市的地域より高い(表1)。つまり、都市的地域の経済構造は、民間主導型であるのに対し、農村地域のそれは、社会資本整備に依存する割合が高いことが示唆される。
  3. 社会資本の直接効果を1990年のバブル崩壊前後で比較すると、平地農業地域と中間農業地域では、不況期において直接効果が上昇し(0.15~0.21⇒0.24~0.28)、都市的地域では間接効果が上昇(0.63⇒0.67)する傾向が見られる(表1)。
  4. 農業所得に対する効果は、直接効果及び農業関連部門を通じた間接効果ともに道路等の交通基盤よりも農業生産基盤の効果が大きくなる傾向が見られる(表2)。
成果の活用面・留意点 本研究の成果は、行政部局において農業農村整備事業の事業評価手法の一つとして活用できる。ただし、実際の適用や評価に当たっては、データの更新に留意するとともに、社会資本の多面的機能を評価する分析手法等の開発が重要である。
図表1 228045-1.gif
図表2 228045-2.gif
図表3 228045-3.gif
カテゴリ 中山間地域

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