亀裂性岩盤を流れる地下水汚染物質の流動特性

タイトル 亀裂性岩盤を流れる地下水汚染物質の流動特性
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 土原健雄
石田 聡
今泉眞之
発行年度 2005
要約 亀裂性岩盤を流れる溶質の到達の速さとその後の緩やかな濃度低下の関係を定式化した。また亀裂性岩盤の縦方向分散率が試験スケールに依存して増加する規則性の定式化を行った。これにより、地下水汚染物質の到達時間及び汚染の継続時間の予測やより高精度なシミュレーションが可能になる。
キーワード
亀裂性岩盤、溶質、縦方向分散率、試験スケール
背景・ねらい 中山間農業地域に広範に分布する岩盤地域は、地下水の涵養域である場合が多く、ここで地下水汚染が発生した場合の影響について迅速に情報提供する必要がある。岩盤地下水内の物質流動を考える際、岩盤内では連続する亀裂が流体の主要な流路であり、亀裂を考慮に入れることが必要不可欠である。ここでは、亀裂性岩盤を流れる地下水汚染物質の流動特性を文献調査・室内試験・野外試験により明らかにした。
成果の内容・特徴
  1. 亀裂性岩盤における溶質の流出形態の特徴は、鋭い濃度上昇とその後の緩やかな濃度の低下であるといわれている。過去のトレーサー試験結果を比較すると、溶質の到達の速さとその後の濃度低下の関係は図1に示すように定式化される(y=16.73x0.75、R2=0.82)。また、その傾向は室内試験及び野外試験においても示されることが確認された。これは汚染物質の速い到達とその後の濃度の低下しにくさを示している。
  2. 縦方向分散率は流れ方向の地下水流速に先行して溶質の濃度がぶれる度合いを表しており、物質輸送のモデル化において重要なパラメータである。これまで帯水層の種類を問わずに分散率と試験スケールの関係を議論した研究はあるが、亀裂性岩盤に焦点を当てた研究は行われていない。ここで、過去の亀裂性岩盤を対象にした試験結果より、分散率は岩種にはよらず試験スケールに依存して増加することが明らかとなり、その規則性は図2に示すように定式化される(αL=0.081L0.894R2=0.76)。
  3. これまでの数値解析では地質や地層により分散率を一定と仮定しているが、分散率が大きいと汚染源付近の溶質の拡散を過大評価し、分散率が小さいと下流側の拡散を過小評価することになる(図2)。分散率を一定と仮定するのではなく、試験スケールに依存した分散率を用いることで、これらの問題は解消される。
成果の活用面・留意点 亀裂性岩盤中の汚染物質の流出形態を定式化することにより、汚染物質の到達及び汚染の継続時間の推定が可能である。また、これまで一定値とされてきた分散率にスケールに依存して増加する値を適用することで、岩盤中の汚染物質の挙動を過小・過大評価することなく、より高精度なシミュレーションを行うことが可能になる。
図表1 228054-1.gif
図表2 228054-2.gif
カテゴリ くこ 中山間地域 輸送

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