タイトル |
農村の生活環境・農業生産環境のバリアに対する住民の評価 |
担当機関 |
(独)農業工学研究所 |
研究期間 |
2004~2005 |
研究担当者 |
山下 仁
片山千栄
工藤清光
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発行年度 |
2005 |
要約 |
農村環境のユニバーサルデザイン整備を進める上で、生活環境・農業生産環境のバリア(障壁)に対する高齢農業者等の不満が高い事項は、圃場への進入路が急坂、集落内に休憩所がない、営農に関する情報入手の機会が少ない等である。
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キーワード |
ユニバーサルデザイン、生活環境、農業生産環境、バリア、高齢農業者
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背景・ねらい |
担い手の高齢化が進む中で、農業の生産性を維持するためには、高齢農業者や女性農業者のように体力的にハンディがある人も活動しやすい圃場や施設等の環境整備(ユニバーサルデザイン化)が必要になる。本課題では、農村の生活環境・農業生産環境の最適なユニバーサルデザインについて検討するために、担い手の高齢化が進む農山漁村において、高齢農業者や女性農業者のように体力的なハンディがある人をはじめ、すべての人が活動しやすい環境整備(ユニバーサルデザイン化)に関する現状の実態や住民のニーズを把握する。
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成果の内容・特徴 |
- 農業者への面接調査や都市住民も参加するワークショップを通じて、農村の生活環境・農業生産環境に関するバリアの内容を抽出した(表1)。その上で、抽出したバリアを基に、文献等で指摘されるバリアも含め整理し、中山間水田地域3地区、平地畑作地域1地区の計3地区252戸690人を対象に、それらのバリアに対する住民の評価についてアンケート調査を実施した。回収票数は285票で回収率は41%であった(表2)。
- 農村の生活環境のバリアへの住民の評価については、バス等の公共交通機関が少なくて不便、小さい子どもを預ける保育施設が少ない、ベンチ等集落内に気軽に休める休憩所がない等、整備不足のバリアに関する不満が高い(表3)。不満内容と属性との対応を見ると、性別では、女性は買い物や通勤・通学時の急な坂道の不満が高く、年齢層別では、60歳代で公衆トイレがない、小さい子どもを遊ばせる場所がないことへの不満が高い。困難動作の有る者では、小さな段差や急な階段への不満が高い。
- 一方、農業生産環境のバリアへの住民の評価については、同じ姿勢を強いられる作業が多い、あぜの法面が広く段差が高く危険、圃場が分散していて疲れる、営農の基礎的な知識を学習する機会がない等、作業方法や水田管理、情報入手に関する不満が高い(表4)。不満内容と属性との対応をみると、性別では、女性は機械の操作がむずかしいという不満が高く、年齢層別では、50歳以下の若い世代は農作業技術等の専門情報の入手、70歳以上の高齢世代は重たいものを持つ農作業や大型機械を扱う農作業への不満が高い。困難動作の有無では、同じ姿勢を強いられる作業や重たいものを持つ農作業、機械の操作がむずかしい等への不満が高い。
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成果の活用面・留意点 |
本課題の成果であるバリアの内容と属性との対応関係を考慮することにより、農村環境整備を行う際に、より効果的な整備が期待できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
水田
中山間地域
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