| タイトル |
釧路湿原における河床湧水の特徴と湧出過程 |
| 担当機関 |
(独)農業工学研究所 |
| 研究期間 |
2003~2007 |
| 研究担当者 |
土原健雄
中矢哲郎
石田聡
今泉眞之
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| 発行年度 |
2004 |
| 要約 |
釧路湿原には、これまで知られていた台地と湿原の境界に分布する湧水以外に、水質の異なる陥没穴型と噴砂丘型の2タイプの河床湧水が存在する。2つの湧水は異なる流動経路を経て釧路湿原内に流出しており、これらの湧出過程は水質項目により分類が可能である。
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| キーワード |
釧路湿原、陥没穴型、噴砂丘型、河床湧水、異なる流動経路、水質
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| 背景・ねらい |
釧路湿原において自然再生型事業を推進していくためには、湿原の正確な水循環の把握が不可欠である。釧路湿原では寒候期の降雪・結氷といった水文環境下で生態系が構成されている。湧水は水温、水質等の状態を保持する機能を有するので、生態系への影響が大きい。 ここでは、最も原生的な自然が残されるチルワツナイ川において、踏査と環境同位体・水質を指標とした調査・解析により河床湧水の特徴を明らかにし、さらにこれらの結果から河床湧水の湧出過程を検討した。
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| 成果の内容・特徴 |
- 釧路湿原を流れる自然河川であるチルワツナイ川には多くの河床湧水が存在し、特に支流河川であるB・C河川に地下水の湧出が集中することが確認された(図1)。
- 釧路湿原の湧水には、湿原を取り巻く台地に湧く地山湧水と湿原内の河川に湧く河床湧水とがある。チルワツナイ川の河床湧水は、その湧水口形態から、「陥没穴型湧水」と「噴砂丘型湧水」の2種類に分類できる(図2)。陥没穴型湧水はクレーター上の穴を形成するこれまでに報告されていない形態の湧水であり、B河川に集中して分布する。一方、噴砂丘型湧水は河床底質を巻き上げる形態の湧水であり、C河川に多く分布する。
- 河川水(A河川)、陥没穴型湧水、噴砂丘型湧水、地山湧水について、SO42-、HCO3-及び地下水の指標であるラドン(Rn)濃度の分布より分類を行った(図3)。ほとんどが地表水で占められるA河川の水はGroup1、噴砂丘型湧水はGroup2、陥没穴型湧水はGroup3に分類され、2つの湧水および地表水はそれぞれ異なる水質を示す。
- ラドン濃度、電気伝導度、硬度(Mg2++Ca2+)の3つの要素を用いたクラスター分析(異なる性質を有する集団の中から、類似した集落(クラスター)を作り、対象を分類する手法)により水質の分類を行った(図4)。陥没穴型湧水はCluster-2に集中し、地山湧水と同じ傾向を示す。一方、噴砂丘型湧水の多くはCluster-1bに分類される。
- 湧水の水質の差異は異なる流動経路を通過することにより生じており、湿原基盤と湿原堆積物のいずれを通過するかで付加される水質が異なると考えられる。釧路湿原の河床では、地山湧水と同じ水質系統の陥没穴型湧水(推定流動経路:台地涵養域→湿原基盤→河川)と噴砂丘型湧水(推定流動経路:台地涵養域→湿原堆積物→河川)の2種類の湧水が流出し、異なる水質の地下水を湿原に供給している。
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| 成果の活用面・留意点 |
複数の水質項目を比較することにより、釧路湿原の河床湧水の湧出過程を分類することが可能である。本成果は釧路湿原における自然再生事業への活用が期待される。
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| 図表1 |
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| 図表2 |
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| 図表3 |
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| 図表4 |
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| カテゴリ |
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