水利施設の維持管理負担を考慮した地区別水田利用計画の策定手法

タイトル 水利施設の維持管理負担を考慮した地区別水田利用計画の策定手法
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 八木洋憲
芦田敏文
福与徳文
発行年度 2005
要約 数理計画法を応用したモデルにより、地区別の水稲収量、水利施設の延長当たり維持管理費、維持管理労働等のデータをもとに、水利施設の維持管理負担を考慮した上で、地域の農業所得を最大化する地区別の水田利用計画を策定することができる。
キーワード
数理計画法、水利施設、維持管理負担、水田利用計画
背景・ねらい 米政策の転換により、全国一律の生産調整から、より地域における生産効率を重視した水田利用への転換が求められている。しかしながら、地域内の水田を無計画に転用・潰廃すると、残された少数の受益農家への水利施設の維持管理負担が増大することになり、継続的な維持管理が困難となる。そこで、水利施設の維持管理負担を考慮した地区別水田利用計画の策定手法を開発した。
成果の内容・特徴
  1. 本手法では、地区別(ここでは大字別とした)の水稲収量、米価水準、水利系統図、水利施設の延長当たり維持管理費用等のデータを、数理計画法のモデルに投入し、地域全体の農業所得が最大化されるように、地区別(大字等)の水田利用計画を決定する。この際、春期労働投入の上限値を増加させると、利用計画で選択される水田面積が増加するので、ここで選択される順位を水田利用の優先順位とした。
    • ケース(1)の計画案では、水利施設の維持管理負担を考慮して利用計画を決定する。
    • ケース(2)の計画案では、維持管理負担を考慮せず、各地区の水田生産性のみを考慮して利用計画を決定し、それらの地区に配水を行う水利施設を維持する(図1)。
  2. 事例地域におけるケース(1)の計算結果では、優先的に水田を保全すべき地区は、水利系統単位にまとまって存在する。これに対し、ケース(2)では、地区単位の水田生産性のみが考慮され、維持管理の負担が考慮されないため、水利系統を無視した水田利用の優先順位となる(図2中に赤線で例示)。
  3. (1)維持管理を考慮して水田利用の優先順位を決定すると、受益水田面積の減少に対応して、維持すべき水利施設の延長も減少する。(2)維持管理を考慮しない場合には、受益水田面積が減少しても、維持すべき水利施設の延長が減少しない(図3)。
  4. 10a当たり農業所得は、ケース(1)、(2)とも農家負担が毎年の経常的な維持管理費程度であれば、受益水田面積が減少しても減少しない。一方、施設の再建設費を負担する場合、ケース(1)のように維持管理を考慮して水田利用を決定すれば大きな所得減少は起こらないが、ケース(2)のように維持管理を考慮せずに水田利用を決定し、そのための水利施設の維持管理費を負担すると、受益水田面積が減少した場合に、所得確保が困難になる(図4)。
成果の活用面・留意点 本手法は、効率的な水田利用のための地域計画算定や、地区間の転作配分の合理化、賦課金設定の合理化の推進において利用可能である。また、効率的な水田利用を行った場合の農業所得と、地域用水機能等の維持のために水利施設を継続的に維持した場合との農業所得との差を見ることにより、地域用水保全のために必要な支援額を試算可能である。
図表1 228091-1.gif
図表2 228091-2.gif
図表3 228091-3.gif
図表4 228091-4.gif
カテゴリ 水田 水稲 水管理

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