タイトル |
高齢者等に配慮した生活道路のユニバーサル舗装材料 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
坂口陸男(日本道路(株)
若杉晃介
小倉 力
小堀茂次(東武化学(株))
藤森新作
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発行年度 |
2006 |
要約 |
道路のユニバーサル舗装に利用可能な材料として、ウッドチップ舗装材、土舗装材、三和土(たたき)を想定し、供試体により硬さと夏場の照り返し防止に重点をおいて評価した結果、これらの材料は高齢者のバリアフリーに活用できる。
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キーワード |
生活道路、営農道路、バリアフリー、ユニバーサル舗装、マグホワイト
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背景・ねらい |
高齢化社会の中で、農村部においても生産活動に高齢者の関わりが大きいため、バリアフリー化が必要となってきている。とりわけ農村では、その空間特性を踏まえ、集落内から農地等までを一体的にとらえて、バリアーを軽減する必要がある。そこで、農村地域の生活・営農道路を対象にユニバーサル舗装材料の評価を行う。
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成果の内容・特徴 |
- ユニバーサル舗装の硬さの指標として、ゴルフボール1m落下時の反発高さ(GB係数:表面の弾力性や硬度の評価・図1)、鉄球1m落下時の反発高さ(SB係数:弾性反 発性の評価)、頭部をイメージした4.6kgの鉄製の半球落下時の加速度測定(HIC法)を行い、硬さと転倒時の安全性を把握した(図2)。
一般にGB係数、SB係数はともに小さい程歩きやすいが、自然土は降雨や荷重により表面が乱されるため、ある程度の硬さを必要とする。HIC法は、遊戯具で遊ぶ児童が万一落下した場合の安全性を評価するために用いられる試験であり、米・英国で標準試験となっている。この試験では、落下最大加速度と頭部損傷係数HIC(Head Injury Criteria)が入手でき、最大加速度200GまたはHIC1000未満(臨界落下高さ)が基準値であり、この基準内であれば脳に深刻なダメージはないとされる。 - ウッドチップ舗装および土舗装は、従来のアスファルト舗装やコンクリート舗装に比べて約1/5の軟らかさであり、自然の土に近い感触である(図3)。
- 三和土(土・石灰・苦汁の混合)のHICは170cm以上であり、良好ではあるが、実用面では降雨による浸食が課題であり、マグホワイトなどによる固化が実用的である(表1)。
- 夏期において、黒いアスファルト舗装は太陽熱を吸収して表面温度は60℃にも達し、都市のヒートアイランド現象の一因となっている。また、夏場の照返しは歩行者の日射病を誘発する恐れがあり、保水性舗装など水の蒸発散により表面温度を低下させる工法等が適用され始めている。土やウッドは元々水分が多く、路面温度は低いことから、マグホワイトを用いた土系舗装、ウッドチップ舗装について、人工太陽光による照射実験を行った。土舗装等はアスファルト舗装に比べて12~15℃の路面温度低減効果が明らかとなった(図4)。
- 以上の結果、農村部におけるマグホワイトを用いた土舗装やウッドチップ舗装は高齢者に対しバリアフリーな舗装材料であるといえる。
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成果の活用面・留意点 |
バリアフリー法において、舗装材料の規定には、滑らない、段差を付けない、透水性にする、といった規定はあるが、硬さの規格はなく、今後の検討すべき課題である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
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