タイトル |
マグホワイトによる大豆のカドミウム吸収抑制効果 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
若杉晃介
小倉 力
小堀茂次(東武化学(株))
増田隆仁(電気化学工業(株))
藤森新作
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発行年度 |
2006 |
要約 |
カドミウム汚染土壌にマグネシア系土壌硬化剤「マグホワイト」を混合して、マグネシウムアパタイトを生成し、カドミウムを結晶構造に取り組むことで、大豆のカドミウム吸収を抑制することができる。
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キーワード |
大豆、重金属、カドミウム、マグホワイト、マグネシウムアパタイト
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背景・ねらい |
コーデックス委員会は平成18年4月、カドミウム(Cd)の食品中の基準値について、玄米は従来の1mg/kgから0.4mg/kgを国際基準値として採択することで合意した。乾燥した大豆の基準値は設定されていないが、食品を経由したCdの摂取量を可能な限り低減する必要がある。そこで、転換畑で栽培される大豆について、マグネシア系土壌硬化剤「マグホワイト」によるCd吸収抑制効果を検証した。
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成果の内容・特徴 |
- マグホワイトは軽焼マグネシア、リン酸肥料及びクエン酸を原料とした土壌硬化剤である。土壌中の水分と反応して硬化し、この硬化過程で生成されるマグネシウムアパタイト[Mg3(PO4)2OH]は、様々な元素をその結晶構造中に取り込む(図1)。
- Cdはマグネシウムアパタイト中のマグネシウム(Mg)と、砒素はリン(P)と、また、ふっ素は水酸基(OH)と置換する。これらの重金属類と置換した物質もマグネシウムアパタイトと同様な基本特性を持ち安定化する。室内試験では、大半の重金属類は、環境基準値の数倍から100倍程度あった溶出量がマグホワイトの混合により数日で環境基準値以下となった(図2)。
- 土壌のCd含有量5.0ppmに対して、無添加区の大豆子実のCd濃度は1.6ppm、マグホワイト0.3%、1.0%、3.0%の混合区では、それぞれのCd濃度は、1.27ppm、0.82ppm、0.74ppmとなった(図3)。一方、土壌のCd含有量1.0ppm区はマグホワイトの添加率に関わらず大豆のCd濃度は0.3~0.4ppmとなった。このことから、高濃度のCd含有土壌ではマグホワイトの混合率が高いほど大豆中のカドミウム含有量は減少するが、1.0ppm程度では混合率が0.3%でも3.0%でもCd吸収抑制力は大差がない。
- 石灰窒素を60kg/10a混合した場合の効果は、単独では無添加よりも若干濃度が低下する程度である。しかし、これにマグホワイト0.3%を混合すると、土壌中のCd含有量5ppmの場合で、マグホワイト単独混合率3%の0.74ppmよりも低い0.69ppmとなった。
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成果の活用面・留意点 |
- マグホワイトによる土壌改良は表土のみであり、大豆の根は土壌水分が少ないと下層土まで伸張する恐れがあることから、地下水位制御を図る必要がある。
- 水田土壌と少量のマグホワイト粉体を均一に混合することは難しく、代かき工法(マグホワイト散布→混合・攪拌→代かき→砕土・整地)が適している。
- カドミウム吸収抑制効果の持続性について、今後検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
乾燥
水田
大豆
土壌改良
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