土地被覆と作業時間の把握にもとづく農村地域の管理状況の変化

タイトル 土地被覆と作業時間の把握にもとづく農村地域の管理状況の変化
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 栗田英治
松森堅治
木村吉寿
発行年度 2006
要約  農村地域の土地利用変化を,土地被覆変化と被覆に対応する作業時間という形で定量的に捉えることにより,集約化や分散・粗放化といった農村地域の面的な管理状況の変化の把握が可能となる。
キーワード 空中写真、土地被覆、管理状況、経年変化、地形条件
背景・ねらい  農林地の耕作・管理放棄にともなう様々な環境保全機能の低下が大きな課題となっている。こうした状況と受けて、集落などの地域を対象とした農林地の保全・管理のあり方が模索され始めている。本研究では、空中写真を用いた経年的な土地被覆の変化と作目毎の作業内容、作業時間等を把握することにより、農村地域の管理状況の経年的変化、地形条件ごとの利用・管理状況を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 空中写真の実体視判読、デジタルオルソ画像を用いることにより、地域内を利用・管理状況の違いを反映した土地利用・被覆に区分することができる(図1)。区分された土地被覆ごとの作目、作業内容(作業項目)、各作業に要した時間、作業に用いた機械等を整理する(表1)ことにより、農村地域の面的な管理状況が地図化できる。
  2. 作付や利用形態などの種目で把握されてきた土地利用変化を,土地被覆変化と被覆に対応する作業時間という形で定量的に捉えることにより,農村地域の管理状況の経年的な変化,集約化や分散・粗放化を解明することができる。また、土地被覆ごとの利用・管理状況を、地形条件(地形区分、傾斜度等)に着目して解析を行うことにより、地形条件ごとの管理状況及びその変化を明らかにすることができる。
  3. 茨城県かすみがうら市の新治台地を対象とした分析においては、10の土地利用、30の土地被覆への区分が実施できた。経年的なデータの作成により、地域全体の農林地の利用・管理に要する平均作業時間の減少(44.3時間:1947年 → 22.5時間:2000年)と、地域全体に及んでいた利用・管理が、空間的に偏在するようになった管理状況の変化を把握することができた(図2)。
  4. 地形条件に着目した解析を実施することにより、①主に水田が立地する谷底低地においては、圃場整備や水田稲作の機械化にともなう省力化が進んだこと、②畑地が立地する台地上位面の平坦地においては、機械化にともなう省力化と苗木作などの導入にともなう集約化により、利用・管理状況の二極化が進んだこと、③樹林地や栗園等が分布する谷壁斜面を中心とした傾斜地(平均傾斜度:3.0°未満)においては、樹林地の管理放棄、栗園管理の粗放化により、定期的な利用・管理の及ばない農林地が増加した(傾斜地全体の6割:2000年)ことが明らかになった。
本研究の成果は、集落域などでの多面的機能の発現に考慮した農林地の保全・管理計画策定において活用できる。計画策定にあたっては,偏在化した農林地の利用・管理状況を多面的な機能の発現、地形条件にあわせた作業体系などの面から見直していく必要がある。また,成果の活用にあたっては,各地域の農業・農林地の利用などの特徴を十分に踏まえる必要がある。
成果の活用面・留意点 本研究の成果は、集落域などでの多面的機能の発現に考慮した農林地の保全・管理計画策定において活用できる。計画策定にあたっては,偏在化した農林地の利用・管理状況を多面的な機能の発現、地形条件にあわせた作業体系などの面から見直していく必要がある。また,成果の活用にあたっては,各地域の農業・農林地の利用などの特徴を十分に踏まえる必要がある。
図表1 228123-1.jpg
図表2 228123-2.gif
図表3 228123-3.gif
図表4 228123-4.gif
カテゴリ 機械化 傾斜地 省力化 水田

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